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台船上にユニットジャッキを配置して昇降操作により架設

愛知県 衣浦大橋 上り線左折専用橋の架設が進捗

公開日:2022.02.21

 愛知県は16日、衣浦港に架かる衣浦大橋で建設を進めている上り線左折専用橋のP5~A2径間(62m)の桁を架設した。同橋は橋長413m、幅員10mの6径間連続鋼床版箱桁橋で、瀧上工業と日本車輌製造が施工している(今回の架設は瀧上工業の製作桁)。
 施工はすべて台船上にユニットジャッキを配置して、ジャッキの昇降による架設とした。16日の架設では、1,000t積台船に最大昇降能力150t、最大ストローク2,100mmのユニットジャッキ4基を配置している。


台船上に配置されたユニットジャッキ

 今回架設した鋼桁ブロックは長さ59.67m、幅10m、鋼重254.9t(冶具を含めた重量は約303t)で、前日の15日に瀧上工業半田第二工場から浜出しを行い、架設位置から30m離れた地点に係留した。
 当日は、午前9時半からジャッキアップを開始。計画では潮位がD.L.(工事用基準面)+150cmの時に1,500mmのジャッキアップを行うことになっていたが、当日は潮位が計画よりも30cm高くなっていたため、ジャッキアップ量を1,200mmに変更した。「(ユニットジャッキで)高さ調整が容易に行える」(瀧上工業)ことから、計画とは違った潮位に対応できたといえるだろう。


係留状況と桁のジャッキアップ

 ジャッキアップ後、台船上のウィンチ4基でワイヤーロープを巻き取って台船の進入を開始した。まずA2側から桁を寄せていったが、橋台とのクリアランスがないために桁端部と橋台に接触防止用マットを設置して、それぞれのマットがあたるほどのギリギリの操作を行っていた。P5側もクリアランスが400mm(A2側マットの厚さが約100mmあるので、実質300mm)しかなく、こちらも位置を何度も確認しながら操作を行い、進入開始から約1時間かけて台船を架設位置に進入させた。


台船が架設位置に進入していく

A2側は接触防止用マットがあたるほど、わずかな誤差も許されない操作となった

(右)台船進入完了

 架設当日は潮位変化量が少ないため、台船退出可能時刻と架設済みとなるP1~P5径間の作業実績を考慮し、1回目のジャッキダウンを11時に実施した。その後、2回目のジャッキダウンでA2橋台の仮受点に桁をタッチさせ、11時20分過ぎの3回目のジャッキダウンでP5側のセッティングビームを架設済み桁の受架台にタッチさせた。P5側の仮接合は、架設桁とセッティングビームをピン構造で接合して、架設済み桁に荷重を預けている。
 12時過ぎには台船が退出し、午後には主桁位置の微調整を行って当日の作業を完了させた。


ジャッキダウンにより桁を所定位置に収める/台船が退出

台船退出後

 同橋の整備事業は、衣浦大橋上り線の交通渋滞緩和のために行われているものだ。衣浦大橋上り線は2車線で供用されているが、1車線が左折専用となっていることから直進車両も含め渋滞が多く発生し、その対策が求められていた。そこで、橋梁を新設することで左折専用車線(1車線)を新たに確保し、現橋を直進2車線とすることで、交通環境の改善を図っていく。
 設計は、パシフィックコンサルタンツ。一次下請けは、ミック、深田サルベージ建設。
(詳細版は後日、『現場を巡る』で掲載する予定です)

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