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松井繁之大阪大学名誉教授が提案、東京測器研究所と共同改良 床版の耐久性を検討するクラックゲージ

重量を半減させた新しいM式3方向クラックゲージ『CET-2S001』を開発

公開日:2021.11.29

 松井繁之大阪大学名誉教授が開発、東京測器研究所が製作した鋼製クラックゲージ『M式3方向クラックゲージ』は、多くの床版の試験や維持管理の現場で用いられている。その筐体をアルミ製にすることで重量を半減させた新しいM式3方向クラックゲージ『CET-2S001』を松井教授が提案,東京測器と共に改良し、このほど営業開始した。同ゲージは基本的に床版の下面に専用の接着剤で張り付けて使用するが、筐体が重いことにより、ハンドリング性が悪く、さらにその重さのため、計測途中で落下してしまうケースもあった。それがアルミ製となることで、接着剤もより一般的なものを使うことで設置でき、計測途中の落下も起きにくくなっている。価格は195,000円(税抜)で、今後、床版の輪荷重載荷試験機を有している団体や会社、現場で床版の維持管理を担うコンサルタントやゼネコン、ファブなどに積極的に周知していく方針だ。

M式3方向クラックゲージ概要

CET-2S001使用例及び製品写真

3つの断面力を1つのひび割れの動きで捉える
 カンチレバー式の変位計を3方向に付けた計測機械

 M式3方向クラックゲージは、道路橋コンクリート床版の耐久性を検討するクラックゲージとして開発されたもの。カンチレバー式の変位計を3方向に付けた計測機械であり、活荷重載荷による床版に働く3つの断面力、曲げモーメント、ねじりモーメントおよび鉛直せん断力を一つのひび割れの動きで捉えるため、そのひび割れの開閉、水平ずれ、鉛直方向のずれ(段差)の動きを同時に測定するものである。通常、活荷重通過後にこうしたひび割れ挙動は床版が健全であれば走行前の状態に戻るが、すぐに戻らない場合はそのひび割れは劣化をしているという判断ができる。また、ひび割れの動きから輪荷重の大きさを逆算することもできるため、どのような荷重の車両が該当橋梁で卓越しているかというとこを確認することができる。
 こうした計測を実床版で確認し、劣化の進展レベルを確認することができれば、既設床版の補修・補強の時期推定と適切な工法選択を行うことが可能となる。
 また、今回の構造は、計測器の外形を平行四辺形にして、ひび割れが直線状でなくてもひび割れを挟んで設置できるように改良をしている。なお、カンチレバーの側のひずみガージが疲労損傷しない限り、現場を変えて何度でも使いまわすことが可能だ。

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