都心環状線・日本橋区間地下化事業の現場を公開
首都高速道路 呉服橋・江戸橋出入口のランプ橋撤去に着手
首都高速道路は6月30日、日本橋区間地下化事業の「呉服橋・江戸橋出入口撤去工事」の現場を報道陣に公開した。本工事では、5月10日に廃止した呉服橋出入口と江戸橋出入口のランプ部の上部工と橋脚を約3年間かけて撤去していく(工期末は2024年2月26日)。これにより事業全体で撤去する橋梁の約1割を撤去することとなる。
本工事を先行して行うのは、事業区間の下を流れる日本橋川の河積阻害率を下げるためだ。シールドトンネル掘削時に都心環状線の橋脚基礎が干渉する箇所があり、新しい橋脚を構築した上で、干渉する下部工を撤去するので、新旧の橋脚が並立する間は河積阻害率が上がることになる。それを防ぐためにランプ部の橋脚を先行撤去する工程とした。
首都高速道路提供(写真以外)
床版と桁の撤去を1径間ごとに実施
橋脚は江戸橋出入口側4本、呉服橋出入口側3本を撤去
施工は、江戸橋出入口のONランプ橋、同OFFランプ橋、呉服橋出入口ランプ橋の順番で行う。まず本線側の床版(壁高欄、地覆含む)をカッターおよびワイヤーソーで小ブロックに切断したうえで、25t吊ラフタークレーン(予定)で吊上げて搬出する。1径間の床版撤去が完了したら、桁撤去のための門型クレーンを設置して、1径間の桁を切断、日本橋川に配置した台船に吊り下ろしていく。
江戸橋出入口ONランプ(左・中央写真)と日本橋川上からの江戸橋出入口(右写真奥側)。足場はSKパネルを採用している。
呉服橋出入口(左写真奥側)と同出入口の本線側に設置された足場
撤去する桁は、江戸橋出入口のON・OFFランプ橋が各4径間、呉服橋出入口ランプ橋が5径間で、桁長は約40~50mになる。この作業を各ランプ橋ともに出入口側に向けて繰り返して上部工の撤去を完了させる。
その後、江戸橋出入口側4本、呉服橋出入口側3本の橋脚撤去を行う。ワイヤーソーなどで上部から切断していき、クレーン台船を用いて切断ブロックを運搬船に載せていく。呉服橋出入口の橋脚は本線橋脚も兼ねているため、横梁補強を行ってから撤去していくことになる。足場設置などの準備工を進め、「床版と桁の撤去に約1年間、橋脚の撤去に同じく約1年間を予定している」(首都高速道路)という。
シールドトンネルの半蔵門線との離隔は約1.1m
2040年に日本橋川に青空を取り戻すことを目指す
同工事完了後は、先に記した新橋脚構築、橋脚基礎撤去を行う河川内工事や開削トンネル工事、シールドトンネル工事などを行っていく。事業区間内には常盤橋や江戸城の石垣などの史跡があり、トンネル工事では影響を与えない施工をしていくという。また、シールドトンネルは、地下鉄半蔵門線との離隔が約1.1m、銀座線とは約2.3mと「地下埋設部を避けながら針の穴を通すような、このルートしかないようなルート選定をしている」(同)と説明を行った。これら工事の完成予定は2035年で、その後、高架橋を撤去し、2040年に日本橋川に青空を取り戻すことを目指している。
船に乗り、事業区間を見学。左から、旧常盤橋周辺、一石橋周辺、日本橋周辺、江戸橋JCT周辺
日本橋区間地下化事業の事業延長は、神田橋JCT~江戸橋JCT間の1.8km。このうち、トンネル構造が1.1km、高架構造が0.4km、擁壁構造が0.3kmとなっている。日本橋地区などの再開発とも連携し、街づくりと一体となって更新事業を進めていく。
「呉服橋・江戸橋出入口撤去工事」の施工は、清水建設・JFEエンジニアリングJV。