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今年度3回、来年度3回実施予定

NEXCO西日本 中国道で鋼桁の更新を伴うリニューアルが本格化

公開日:2021.06.04

 西日本高速道路関西支社は5月19日0時から宝塚IC~吹田JCT間のリニューアル工事を行っている。期間は6月27日5時まで。その間宝塚IC~中国池田IC間は終日車線規制(前6車線を4車線化)、中国池田IC~吹田JCT間は終日通行止めを行う。宝塚IC~中国池田IC間は主に床版の取替を行うが今回は防護柵設置などの準備工で、本格的な施工は8月以降の時期の規制期間内から始まる予定だ。一方、中国池田IC~吹田JCT間は昨年、中国道御堂筋橋の鋼桁架替えを行ったが、今回は同様の鋼桁架替えを実に9連(豊中高架橋、宮の前高架橋、蛍池高架橋、御堂筋橋などの一部)同時期に施工する予定だ。同社は同現場を5月末に報道陣に公開した。(井手迫瑞樹)

吹田JCT~中国道池田IC間のリニューアル実施状況(NEXCO西日本提供、以下図表・写真とも注釈なきは同)

 中国池田IC~吹田JCT間は、2021年度に3回、2022年度に3回、今回と同様の更新工事を行う。全体で橋梁更新延長は約4.8㎞、橋梁修繕延長は約2.5㎞に及ぶ。床版取替は約46,000㎡(鋼桁更新時の床版取替含む、高性能床版防水は必須)、桁取替は約18,500t、床版防水工は約24,500㎡(高性能床版防水施工分のみ、床版取替分含まず)に達する。そのうち今回の第1期工事では、橋梁更新延長約770mで床版取替を約7,600㎡、桁取替を約3,200t施工する。また橋梁修繕工事延長約300mで3,000㎡の床版防水工を施工する。

工事全体の数量とⅠ期工事施工分の数量

 本工事の一般的な更新工事と異なる特徴は、一部で鋼桁を更新(取替え)し、高耐久鋼床版鈑桁を採用していること、鋼床版化に伴う凍結抑制舗装の適用(中国道御堂橋記事リンク先参照)、鋼床版初のプレキャスト壁高欄の設置、更新桁架設方法の工夫にある。

 通常は、既設RC床版をプレキャストPC床版に取替えるが、本更新工事では、架設時間の制約などを考慮して約半分の面積で高耐久鋼床版を採用している。また、更新する鋼桁の支点部は箱構造の横梁を設けて、主桁本数に拠らず2点の免震ゴム支承により支持する構造にし、施工性及び維持管理性の向上に努めている。


主桁本数に拠らず2点の免震ゴム支承により支持する構造

プレキャストPC床版の継手はMuSSL工法を採用した(右写真のみ井手迫瑞樹)

 鋼床版へのプレキャスト壁高欄の設置にあたっては、初の試みのため、衝突載荷試験を実施して定着部の耐荷力性能を確認した。加えて事前に実物大試験体による施工性確認を実施した上で本施工に入っている。


鋼床版上にも初めてプレキャスト壁高欄を設置した。(右写真は定着部、いずれも井手迫瑞樹撮影)

 架設方法は、クレーンベント工法とジャッキアップ架設を併用した。ジャッキアップ架設は初の試みで、通行規制期間を可能な限り短縮する意図から採用されたもの。供用中に高架下にて、新設桁を地組立てし床版も架設しておき、既設桁下面までセンターホールジャッキとクレビスジャッキで既設桁下面までジャッキアップしておく。その後、終日通行止め期間に入り既設桁を撤去した後、空いた空間に桁や床版をジャッキアップするもの。既設桁に直下に仮配置しているため、更新桁の床版上を足場として使用することもできる。ジャッキアップ後は支点上の桁や床版を落とし込み、添接(桁及び鋼床版)および間詰(プレキャストPC床版)して完了となる。


ジャッキアップ架設状況

 既設桁直下はクリアランスもほとんどなく、ヤードも広いとは言い難いが、橋脚間に荷吊り設備を設置するとともに、各所に横取り機構も設けて地組みを行った。

 クレーンベント架設は、河川や交差道路など高架下の制約がある箇所で用いている。終日通行止め期間中に既設桁を撤去した上で、本線横で地組立てした桁を架設した。特に交差道路などでは仮設梁を渡した上で特殊足場を設置し、架設を行っている。また、鉄道交差箇所(阪急)の上空においてはガーダー架設を採用する予定だ。


豊中高架橋の交差点部で用いられた架設用の梁と特殊足場(左)/
宮の前高架橋では1,000tクレーンを用いて桁架設を行った(中写真のみ井手迫瑞樹撮影)

 元請はJFEエンジニアリング・エム・エム ブリッジ・川田工業・宮地エンジニアリング・ピーエス三菱JV。(7月以降に詳細版を『現場を巡る』にて掲載する予定です)

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