制震デバイスも一挙公開
YBHD 「Smart ZIC」をデモンストレーション
横河ブリッジホールディングス(藤井久司社長、略称・YBHD)は10月23日、千葉県千葉市・新港の総合技術研究所実験センターで、YBHDグループ公開実験見学会を開催した。当日は、国や地方自治体、高速道会社などの関係者約160人が参加した。
同見学会は、YBHD、横河ブリッジ、横河住金ブリッジが開発した、橋梁の耐震補強製品やアルミ製の検査路などを展示、落橋防止装置ならびに制震ストッパーの載荷試験などを見学するもので、13年に実施して以来の2回目となる。
今回は、コールドスプレー技術を応用した特殊金属塗装工法「Smart ZIC」のデモンストレーションも実施した。
Smart ZIC工法の公開デモ
同工法は、金属材料の融点あらいは軟化温度よりも低い温度のガスを先細ノズルにより超音波流とし、その流れの中に金属材料の粉体を投入し加速させ、基材に高速で衝突させることで、基材の表面に皮膜を生成するもの。鋼橋の防食上の弱点となる高力ボルト継手部や部材角部などに犠牲防食作用で高い防食性能を発揮する亜鉛被膜を生成し、鋼橋の長寿命化を図る。YBHD、横河ブリッジ、東京ファブリック工業、琉球大学の4者による共同研究で、現在、沖縄県の沖縄都市モノレールで試験施工を実施している。
制震デバイス関連では制震ストッパー、ねじりリンクダンパー、パワーダンパー、ガセットダンパー、SUB(座屈拘束ブレース)。落橋防止製品としてはパワーチェーン、ピン定着型落橋防止装置、段差防止装置のパワースタンド、耐震装置としてはパワーストッパー、歩道橋用パワーストッパー、衝撃アンカーピン。住軽日軽エンジニアリングと共同開発した、アルミ製検査路常設作業パネル、残存型枠などを展示した。
落錘試験を見学する参加者
さらに、大型落錘試験装置を用いたピン定着型落橋防止装置の落錘試験と、水平力載荷装置を用いた制震ストッパーの載荷試験を公開した。
下里哲弘琉球大准教授
による特別講演を開催
今回、特別講演として、下里哲弘琉球大学准教授を講師に招き、「鋼橋の弱点を克服する斬新な防食技術開発システムとは?~沖縄発の鋼橋競争力UP戦略~」をテーマに行われた。
下里教授
下里氏は鋼橋の市場環境を「鋼橋の少子高齢化」となぞらえ、鋼橋に求められているもの、その弱点と強み、競争力を上げる対策、鋼橋の高齢化対策を、具体例を紹介しながら詳細に解説。現在、沖縄県で取り組んでいる鋼橋の部材エッジ部、ボルト接合部、桁端部の防食技術や、飛来塩分防護構造、水洗い技術、耐食性に優れた橋梁などの研究開発状況を紹介した。