下の函体に影響を与えず施工
NEXCO東日本千葉工事 国道298号稲荷木橋を48軸×2台の多軸移動台車を用いて夜間架設
NEXCO東日本千葉工事事務所(以下「NEXCO」)は、東京外かく環状道路(国道298号)(以下「国道298号」)の稲荷木橋(仮称)を2月中旬に2回に分けて架設した。同橋は一部に京葉道路を横架する箇所があり、11.5m幅×16.8m長さ×2セット、全部で48軸×2台の多軸移動台車を使って、約74m、鋼重569tの桁(合成床版(底鋼板部)、高欄鋼製型枠を含む)を2回にわたって夜間架設した。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)
上空から見た現場状況
概要
稲荷木橋は国道298号と京葉道路が交差する箇所に建設されている高架橋だ。同橋は橋長583mの鋼4径間連続非合成箱桁橋+鋼5径間連続非合成細幅箱桁橋、(全幅9m)で、同橋の直下には並行して京葉道路と交差する東京外環自動車道(高速道路部)(以下「外環道」という。)本体が函体を用いた掘割構造として建設されている。即ち同橋は、外環道と並行し、京葉道路と交差する京葉JCT(仮称)を整備しているその上をさらに跨ぐ国道298号の高架橋として建設されている。一方、外環道は京葉道路の下を通過する構造になっている。
事業概要及び構造一般図
基礎は外環道の函体から下部工が一体となった構造(左図)を採用しており、函体から橋脚を立ち上げるような形で下部工を構築している。函体は基本的に支持層というものを必要としない構造だが、橋脚が設置される個所については、支持層までの深さが浅い箇所は充填コンクリートに土を置き換え、支持層が比較的深い箇所(6m、A2など)では、場所打ち杭を打設して支持力を確保している。地震時に上部工から大きな反力がかかっても函体が持つように、函体頂板厚を最大で約3m程度確保した。また、ラーメン橋脚の個所は函体の柱の位置と合わせている。こうした構造は「NEXCO東日本の高速道路管内では初めて」(NEXCO)ということだ。
下部工はP1~P3が壁式で、P4~P8が門型のRC橋脚ラーメン式である。床版は合成床版を採用している。A1~P4がSCデッキ、P4~A2はパイプスラブ。防食は基本的にC-5系だが、京葉道路上を跨ぐ高架道路部は、金属溶射(亜鉛・アルミ合金溶射(JIS溶射、封孔処理は神東塗料、下請けは三興防蝕)。)+フッ素樹脂上塗りを採用した。
今回多軸移動台車を用いて架設したのは、同橋の4径間連続非合成箱桁部の京葉道路直上にあたる74m部分(P2~P3)。京葉道路を夜間通行止めにした上で、2月12日に外回り、同19日に内回りをそれぞれ一括架設したものだ。
外回り架設ステップ図
写真1 ヤード内に待機している桁/写真2 移動開始(いずれも外回りの写真)
写真3 京葉道路に進入開始/写真4 桁を回転(外回り)
一括架設より前に、A1~P2およびP2から20mの張出部分、P3~P4はトラッククレーン+ベント工法で架設を完了している。
通行止め規制は1、2回目とも21時、架設工事作業開始は21時35分。1回目(外回り桁)は、桁をセッティングビームに乗せて仮ボルト添接を開始したのは2時15分ぐらいで、4時に架設作業を完了した。2回目はヤードから現場までの距離が短いことや1回目施工を踏まえ改善を図り、仮添接開始が1時ぐらい、架設が2時20分と手早く施工を行うことができた。初回はジャッキダウンに大きく時間(1時間程度)を要したが、2回目は30分ぐらいでジャッキダウンできた。