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十間橋の塗り替えにバイオハクリX-WBを採用。クレハ環境で処理

墨田区 処理まで道筋を付けて塗膜剥離材を使用して塗り替え

公開日:2015.12.16

 墨田区は北十間川に架かる十間橋の塗り替えを伴う補修工事を進めている。2014年5月30日に厚労省および国交省から出た「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落としにおける労働者の健康障害防止について」文書に基づいた塗り替え施工を行うが、剥離の際の湿潤化施工だけでなく、その後の塗膜処理まで道筋をつけて塗り替えに臨んでいる。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)

塗膜の積層は15層以上に達する
 膜厚は780μで微量PCB、鉛丹を含有

施工
 同橋は1939年に供用された橋長19.6㍍の鋼単純ゲルバー橋。1939年の開通以来、塗り替えを重ねており、塗膜厚は一般部で約780μ、添接部などでは1,000μを超える膜厚を有し、塗膜の積層は15層以上に達する。下塗りは黒皮上に鉛丹含有の錆止めペイントを使用しているほか、塗膜層からは微量のPCB(1㌔㌘当たり0.2㍉㌘)が検出されている。従来のオープンブラスト工法では粉塵により周辺環境および作業員に健康被害を起こす危険性があることから、既設塗膜を湿潤化して剥離できる塗膜剥離剤塗布工法(「バイオハクリX-WB」)を採用した。780μと厚膜であることから塗膜剥離剤は2回塗りする。また、今回の塗り替えは1種ケレンを採用していることから、塗膜剥離剤を使用した後は、バキュームブラストを用いて鋼材表面をケレンする方針。 施工はシートで周囲を覆った朝顔足場の中で行うが、塗膜剥離剤やブラスト施工時はシートを二重に配置し、剥離後の塗膜片を包み集める手法を採用している。
 塗膜剥離剤は、低温環境下では施工能力が減退することから「塗膜剥離に関してはできるだけ年内に施工する方針」(墨田区)としている。

ウェステックいわきで不溶化処理
 出口戦略明確化で塗り替えし易く

処理
 剥離後のPCBや鉛を含有した塗膜片は、クレハ環境の焼却施設「ウェステックいわき」で焼却処理される。同焼却施設は燃焼ガス温度1,100℃を超える焼却炉を有しており、PCBを熱分解可能な850℃を優に超える焼却能力を有している。また、鉛を含む塗膜もPCB含有塗膜と同時焼却可能で、鉛は焼却過程において塗膜片から分離され、洗煙排水に移行後、排水処理設備にて、pH調整、キレート剤などにより、不溶化処理される。焼却にあたっては、塗膜剥離剤を含有させた上で、有害物質が発生しないかを事前に試験して確認している(バイオハクリX-WBも事前確認済み)。
 墨田区は「今まではPCBを含有する塗膜を処理しても長期保管する必要があった。当区は北十間川や竪川、旧中川などに25橋の道路橋梁を管理しているが、22橋が鋼橋であり、今回出口戦略が明確になったことで塗り替えがし易くなった」(同)と話している。
 元請は上條建設、一次下請は化工建設

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