11日間かけて施工、新技術・点検手法も導入
阪神高速 5号線上下5.3㌔をフレッシュアップ
阪神高速道路は10月13日から24日までの11日間にかけて、5号湾岸線の南港北から湾岸舞洲までの上下線5.3㌔を通行止めし、フレッシュアップ工事を進めている。平成27年から平成41年まで行う大規模更新・補修事業の一環で、工事数量は舗装補修工事が約87,000平方㍍で、このうち鋼床版部が約50,000平方㍍、SFRC舗装が約7,000平方㍍。伸縮継手補修は全299か所のうち50か所。構造物点検を工事区間全線に渡って行う。これまでの舗装補修工事は一部区間を通行止めして行ってきたが、老朽化が進行したため初めて全線通行止めし、延べ作業人員約10,000人、延べ作業車両約7000台を擁して、通常は8日間で行うフレッシュアップ工事を11日間に拡大して24時間体制で行う。工事は3工区に分けられ、舗装はNIPPO、鹿島道路、大成ロテックの3社で受注。工事費用はその他の補修工事を含めて約20億円。安全性・走行性の向上および沿道環境の改善を目的に、舗装の打替えとSFRC舗装、伸縮継手補修を行うほか、標識等の視認性向上のため案内標識とLED道路照明の取替え、出入口部の逆走等を対策する。
鋼床版の補強にSFRCを導入
本工事では新開発された補修補強・点検用の技術・製品が活用されている。
まず補強分野では、アスファルトの打替えを行う中で特に疲労亀裂が発生している箇所にSFRC(鋼繊維補強コンクリート)を基層に採用した点。従来舗装より剛性が高く、鋼床版に発生する応力を抑制し、疲労耐久性を向上させる効果を見込んでおり、データ採集して今後の工事に活用するとしている。
ケーブル点検ロボットを初採用 天保山大橋に
点検分野では、関連会社の阪神高速技術が開発した「ケーブル点検ロボット」を天保山大橋のケーブル点検に初めて採用した。平成26年7月の道路法の省令改正で5年に1回の近接目視点検が義務付けられたことで、斜張橋ケーブル点検において従来の高所作業車から遠望目視点検を行っていた方法に代わるもので、1秒あたり約30㌢の速度で上昇することが可能。1ケーブルを10分~15分でケーブル被覆材の損傷を検出することができる。
同ロボットはケーブルを取り囲むように3方向(Y字型)に車輪を配置し、本体の外周に高性能ドライブレコーダカメラ6台を搭載しているもの。自動走行だけでなく、自動記録も可能で、3種類のケーブル径(160、180、200㍉)に対応できる。エッジライト型LEDも備えており夜間撮影も可能だ。
みつけるくんK
もう1つは構造物点検では阪神高速道路と阪神高速技術、日本電測機の3社で共同開発した渦流探傷技術を用いた非接触の検査機「みつけるくんK」。舗装(80㍉程度)を撤去することなく鋼床版の亀裂や突起を検出することが可能で、1日当たり100~200㍍(1車線)の検査を行うことができる。具体的には4つの渦流探傷センサーを搭載しており、1車輪線(2Uリブの4溶接線)を同時に検査可能とすることで、上記の性能を実現した。今後、鋼床版のデッキ貫通亀裂調査はドクターパトに搭載された車載赤外線サーモグラフィで路線上から詳細調査候補を行う位置を特定、みつけるくんKでさらに路面上から探傷して損傷を特定し、特定された損傷を路面下からフェイズドアレイを用いて詳細調査を行うという三段構えで行っていく方針だ。