塩害で大きく損傷した桁の補修補強
新潟県 新胎内橋の補修補強
新潟県は、主要地方道新潟新発田村上線の新胎内橋について、塩害で損傷した桁の補修補強を行っている。今年度に右岸側の2径間について補修補強し、来年度には左岸側の2径間を補修補強する方針だ。同橋は昭和41年に供用された橋長144.3㍍の単純ポストテンション桁×4連の橋梁。海岸から約1.5㌔離れているものの、主桁が塩害により大きく損傷していることから、今回の補修補強となった。新潟県内の著しく塩害を生じている橋梁の補修現場をレポートする。(井手迫瑞樹)
1.損傷状況
同橋は塩害対策として平成8年に床版外面や桁全面をコンクリート保護塗装によって表面保護している。しかし、平成24年に定期点検したところ、桁にひび割れ、鉄筋露出、剥離、剥落が生じていた。さらに塩化物イオン含有量調査を行ったところ、鉄筋近傍のコンクリートから1立方㍍あたり、1.9~2.0㌔の塩化物イオン量が検出され、塩害と判断された。また、その影響により特に主桁の補強筋やスターラップに著しい損傷が見られるほか、鋼製シースの腐食、爆裂も部分的に確認されており、PC鋼材が露出している箇所もあり、そうしたPC鋼材の中には腐食が生じているものもあった。しかし、衝撃弾性波法による非破壊検査の結果、破断にまでは至ってないことが確認されている。また、特に著しい損傷を生じていたのが上流側の最外桁内側であった。
損傷状況
狭い桁下を移しつつ作業した
PCの横締材は、現場で打音検査をしたところ、ダイヤフラム近傍の後埋めモルタルが浮いていた。
中性化はさほど進展しておらず、床版も平成23年~24年に橋面防水を施工したこともあって健全である。そのため、内在塩分と飛来塩分による複合劣化および保護塗装の際の養生の不全による塩分の封じ込めによる濃縮、塩化物イオンの再拡散による損傷などが考えられる。
また、主桁の下フランジ部はコンクリート強度も不足(現在必要とする設計基準圧縮強度40N/平方㍉に対し27N/平方㍉しかなかった)していた。