新神戸トンネル(北行き)天井板撤去工事の概要
約4・8kmの天井板を夜間通行止めで撤去 ~32号新神戸トンネル~
2月1日号では、阪神高速道路の幸和範代表取締役専務執行役員と西岡敬治参与に同社の保全事業を中心とした今後の展望、大規模更新・大規模修繕事業について話を聞いた。その中で、新神戸トンネルの補修補強について言及があった。同トンネルについてさらに詳しく、今回は担当者の報告という形で内容について掲載する。(井手迫瑞樹)
阪神高速道路株式会社神戸管理部保全工事課 五反田 英雄氏
阪神高速道路株式会社神戸管理部保全工事課 長谷川 智昭氏
1 供用開始から40年経過し、経年劣化も見られた新神戸トンネルの天井板
新神戸トンネル(北行)は、六甲山地西部を南北に縦断する6,910㍍にもおよぶ長大トンネルである。昭和51年の開業当時は、片側1車線の対面通行であったこともあり、横流換気方式が採用され、トンネル断面上方に天井板を設置して送排気の空間を確保する構造となっていた(図1)。その後、昭和63年に第二新神戸トンネルが開通し、現在はそれぞれのトンネルを北行き、南行きの一方通行として利用している(図2)。
図1 新神戸トンネル(北行)標準断面図 図2 新神戸トンネル鳥瞰図(神戸市道路公社提供)
平成24年12月に発生した笹子トンネルの天井板崩落事故を受け、新神戸トンネルにおいても緊急点検を実施した結果、安全性を確保できると判断したが、長期的に経年劣化も否定できないことや、近年は、自動車の排気ガスの低減により、換気方式の変更が可能となったこと等を踏まえ、緊急修繕事業の一環として天井板の撤去を行った。
なお、新神戸トンネルの天井板は、笹子トンネルようなアンカーボルト等による吊構造ではなく、アーチ形式の鉄筋コンクリート(t=150㍉)であり、自立性が高く比較的安定した構造であった。その反面、撤去工事としては、難易度を高める要因となった。
2 工事の影響を最小限にするため、「終日完全通行止め」は行なわずに施工
新神戸トンネルは、路線バス等も通行し、日交通量が最大約10,000台にも上る幹線道路であることから、工事中の道路規制は、多大な影響を与えることが予想された。そのため「終日完全通行止め」は行わずに、40日間の夜間のみを通行止めにし、天井板の撤去を行った。また、それにともなう事前準備ならびに天井板撤去後の工事は、片側1車線規制にて(一般車を通しながら)行なった(図3)。
図3 工事全体の流れ
3 常に一般車が通行する中での事前準備作業
平成26年3月から8月までは、天井板撤去の事前準備として、隔壁の撤去や天井板の一部切断といった作業をおこなったが、作業箇所の直近では常に一般車が通行しているため、細心の注意を払いながらの施工であった。
また、約7.0㌔という長い規制区間(工事範囲)を明確にし、かつ一般車両の規制帯内への誤進入を防ぐため、単管バリケードによる固定規制には点滅式チューブライトを設置することで、安全性の向上に努めた。
写真1 片側1車線規制(天井板始点部) 写真2 天井板上の隔壁