阪神高速道路4号湾岸線で5万平方㍍
塗膜剥離剤を使用して塗り替え
阪神高速道路は、4号湾岸線の泉大津JCT~りんくうJCT間の5万平方㍍強の塗り替えを進めている。平成6年に供用された路線(塗装は平成5年2月)であり、供用後20年で初めての塗り替えとなる。既存塗膜に鉛を含有していることから昨年5月30日に厚労省および国交省から出た「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落としにおける労働者の健康障害防止について」文書に基づき様々な方策を施している。現場を取材した。(井手迫瑞樹)
施工前の養生状況
当初発注は1種ケレンも
剥離剤使用に変更
当初は1種ケレンで発注しており、乾式ブラストにより施工する予定だった。しかし既存塗膜の下塗り塗料にシアナミド鉛ペイントが含有されていることから、上記文書に該当するため、大阪府の労働基準監督署に確認したところ、「①鋼橋の塗装剥離作業は「湿潤化が著しく困難な場合」に該当する、しないではなく(湿潤化しないことが)適切ではない。通達にあるとおり湿潤化と同等程度(鉛含有濃度0.05㍉㌘/立方㍍以下)に粉じん発生濃度を下げるための技術的検討・検証を実施されたい。②湿潤化と同等程度の粉じん発生量を抑える方策は労基において確認されておらず、乾式ブラストを使用した場合、どのような対策をとっても湿潤化と同等程度までの低減は難しいと考えている」という見解を示された。これは特に①が重要で「発生したものに対して労働者保護のためにいかに防護するかではなく、発生濃度それ自体を湿潤化と同等以下に抑えなさいという見解を示された」(阪神高速道路)。
そのため様々な検討の結果、「何も技術的根拠を示すことのできる施工方法を持ち合わせていないため、本工事についてはとりあえず、塗膜剥離剤に剥離方法を変更」(同)して工事を継続している。