道路構造物ジャーナルNET

2017年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ④JFEエンジニアリング

国内改築・海外受注の拡大図る モデル現場で週休二日制を試行

JFEエンジニアリング株式会社
常務執行役員
社会インフラ本部副本部長

川畑 篤敬

公開日:2017.09.08

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第2回目は、日本ファブテックの坂本眞社長とJFEエンジニアリングの川畑篤敬常務執行役員社会インフラ本部副本部長の記事を掲載する。

 ――昨年度の業績についてお伺いします
 川畑 昨年度の受注高は560億円で、内訳は橋梁360億円、その他200億円。売上高は560億円で、橋梁430億円、その他130億円と目標には届かなかった。昨年度の鋼道路橋発注量が20万t割れと減少したことから、国内市場は苦戦を強いられ、海外事業では予定案件の開札遅れなどによる期ズレが多かったことにより、受注が減少した。
 ――需要と市況の現状は
 川畑 今年度の国内新設道路橋の発注量が20万t割れはないと考えているが、大きく増加することもない。ただ、保全改築案件への予算シフトの流れは社会的要請もあり、加速されるとみている。
 一方、担い手確保・育成は喫緊の課題で現場の生産性向上を図るとともに、業界全体での取り組み、魅力ある職場への変革が急務と考えている。


架設作業中の「大島架橋」

 ――今期の状況は
 川畑 今年度の目標は受注高では約800億円で、内訳は橋梁約550億円、その他約250億円。売上高は約650億円で、橋梁約430億円、その他約220億円。
 新設橋梁では昨年同様、三陸道、東海環状、名古屋第2環状の発注が活発で、横浜環状南線も発注が開始される。さらに暫定開業路線の4車線化工事も予定されている。
 また、ジャケットやハイブリッドケーソンなどの鉄構インフラでは、東京港南北道路沈埋トンネル、羽田空港再整備など、オリンピックに向けた東京湾臨海部の整備事業が本格化。東京港と横浜港ではジャケットを利用した桟橋整備を受注している。
 さらに既設桟橋や岸壁などの耐震補強やリニューアル需要が拡大すると見込んでいる。
 また、高速道路の改築事業が盛況となっており、床版取替工事が増加すると見込まれ、現場施工の中で使える技術の開発を進めていく。さらに、これまでの豊富な実績に加え、革新的な提案や老朽化更新需要に特化した技術開発も進め、既存インフラの維持管理に一層貢献していきたい。
 上期では、国道45号気仙沼湾横断橋朝日地区上部工工事(東北地方整備局)、舞浜立体山側上部工工事(関東地方整備局)、中央自動車道(特定更新等)柳樽川橋他9橋梁補修工事(中日本高速道路)などを受注した。まずまずの滑り出しといえる。


深梁工法の施工事例「青森港本港地区岸壁(-10m)改良工事」

 ――海外事業についてお伺いいたします
 川畑 ODA案件は南アジア地域を中心に今後も出件が続くと想定しており、年間100億円程度の受注を期待している。ODA案件以外では、引き続きミャンマー建設省からの発注を中心に、鉄道省などの他の発注者からの受注も増加していきたいと考えている。また、海洋構造物・鉄骨等橋梁以外の鋼構造物へも積極的に取り組んでいく。
 ミャンマーのJ&Mスチールソリューションズの拡張工事が完了、年産2万t体制が整ったが、一層の需要増が見込めることから、現在再拡張工事を実施しており、生産能力を年間3万tに拡大する。今後需要が見込まれる建材や橋梁の合成床版をはじめとした道路関連・港湾関連の新しい製品ラインナップを積極的に展開する
 ――その他には
 川畑 働き方改革の一環として、昨年度から中国地方整備局などのモデル現場2カ所で現場の週休二日制を試行し、成果および課題の抽出を行っている。魅力ある業界にするためにも避けて通れない課題のひとつで、今後の工事への適用を拡大していく。ICT技術などを積極的に活用して促進していくが、発注者の協力など、個社だけでは解決できるものではないので、業界を挙げて取り組むべき課題といえる。(聞き手・佐藤岳彦 文中敬称略)

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