京都市は約147万人の人口を抱える大都市であり、市内は鴨川、桂川、宇治川、木津川等が流れる山紫水明の風個明媚な地である。一方で、道路改良率(幅員5.5㍍以上)は59.4%と全国の政令指定都市平均に比べて低く、都市計画道路の整備率も78.4%と政令市平均を下回っている。そうした中、どのように道路を整備していくか、同市建設局道路建設部の西靖彦事業促進担当部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)
3分の2は山地 147万人が盆地に集住
――京都市内の地形的特徴から
西 京都市は京都府域の南東部に位置し、山城盆地の北半分を占めています。南北に広く長い地形の内陸都市です。そのうち3分の2は山地で、その中の京都盆地につきましては、いわゆる東山、北山、西山と呼ばれる標高1,000㍍以下の山々に三方を囲まれています。北東に高く、南西に低い形状になっており、鴨川、桂川が南北に流れています。さらに南に行くと宇治川、木津川も流れており山紫水明の風光明媚な地と言えます。
人口につきましては、現在約147万人です。市域の大きさを東西と南北で示しますと、南北で最長49㌔、東西で最長29㌔、面積は約828平方㌔となっています。地質的な部分は、京都盆地を取り囲んで知る山地というのが、丹波層群と呼ばれる中世代層からなっており、1.5億年~2億年前に形成された、砂岩、頁岩、チャートなどの堆積岩で形成されています。盆地の周辺部は西山丘陵や桃山丘陵が広がっており、ここには大阪層群が分布しており、未固結の砂礫、砂粘土などの互層で構成されています。一部には海性粘土層の堆積も見られ、京都盆地もかつては海が広がっていた時代があったことが確認されています。
盆地の周辺には花折断層や樫原(かたぎはら)断層など南北方向の活断層が見られまして、盆地を囲む東山、西山、北山などの山々との明瞭な地形境界が見られています。
京北町との合併により道路延長が大幅増加
道路改良率は59.4%、整備率は78.4%と全国平均下回る
――道路網の現状は
西 高速道路ネットワークは市の北の方は整備されておらず、南は名神高速道路、平成24年度に京都第二外環状道路や京都高速道路(阪神高速8号京都線)などが開通しています。こうした高速道路が国道1号、24号、171号と結節して、主要な道路ネットワークを形成するとともに、京都市域の通過交通を処理しています。また、市域南部の南北軸としては京都高速道路が第二京阪へと繋がることで大阪方面へのアクセスを担っています、これらの道路を補完する主要な府道や都市計画道路で構成されています。一方、北部山間地域においては、平成17年に京北町(現右京区の一部)との合併を行っており、日本海へと繋がる国道162号線や滋賀県域に向けた道路ネットワークの広がりがありまして、管理延長も合併によりかなり増加しました。合併の目的である京北の山間地と都市中心部との一体化を促進させるため、関連道路事業を推進しています。
現在の管理道路の延長は3,556㌔(平成27年4月1日時点)です。道路改良率(幅員5.5㍍以上)は59.4%と全国の政令指定都市平均に比べて低くなっています。都市計画道路の計画総延長は481㌔ある中で、完成は360㌔と78.4%の整備率となっており、これも政令市平均を下回っています。
歩くまち京都 四条通で車線数を減らし、歩道を拡幅
――道路建設の必要性について
西 大地震や水害などの激甚災害が多くなっている中で、山間部を含む市内全域において命と暮らしを守る安全・安心の道づくりを行っていく必要があります。また、市域の3分の2を占める山間部においては、公共交通が希薄な地域ですので、道路は地域の生活や産業に不可欠な社会インフラです。その道路の更なる改良を求める声は非常に強くなっています。また、災害時の緊急輸送道路はしっかりと確保していく必要があります。
一方、京都市では歩くまち京都総合交通戦略を策定しています。歩いて楽しい街まちを作っていこうということで、平成22年に策定しました。市街地において交通の主役を車から歩行者に力強く転換していくということで戦略を掲げました。その成果としては、昨年12月に完成した四条通があります。現行2車線あった道路を1車線に減少し、歩道を拡幅したものです。また、同様の整備を京都駅南口駅前広場で進めています。
四条通では現行2車線あった道路を1車線に減少し、歩道を拡幅した
――福岡市内などでは自転車の有効活用も模索していますが、京都は
西 京都・新自転車計画を平成27年3月に策定し、「自転車のみえる化」をキーワードに自転車走行環境,ルール・マナー等のみえる化に取り組んでいます。本年10月には京都市自転車走行環境整備ガイドラインを策定予定で、自転車は基本的に車道を走っていただき、自転車の走行推奨位置を明示する施策を行っています。
自転車走行環境整備状況