佐賀県は、約85万人の人口が10市10町に分散して居住している。それらを結びつけるためにも交通網の整備を進めていく必要があるが、鉄道などの公共交通が貧弱であり、専ら自動車による移動に頼っているため、道路網の整備がとりわけ重要である。有明海沿岸道路や佐賀道路などその整備状況と、供用中の道路、特に橋梁やトンネルといった構造物の保全上の課題も含め、永石誠県土整備部副部長(前 同部道路課長)に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)。
10市10町に85万人が分散
輸送手段は専ら自動車 道路整備が必要
――佐賀県の概要から
永石副部長(元道路課長) 当県は人口24万人の佐賀市を中心に唐津、鳥栖、鹿島など10市10町に約85万人の人口が分散しています。その小さな自治体を結びつけるためにもまた佐賀のような地方は公共交通が貧弱なため移動、輸送手段は専ら自動車に頼っており、そうした需要に応えるためにも道路整備は必要です。
地形的には南北を有明海と玄界灘に挟まれ東は脊振山地と筑後川沿いに福岡県、西は多良岳山系を経て長崎県と接しています。
平野部は県土の55%を占めます。いわゆる沖積平野で特に国道34号以南は、非常に軟弱な地盤であり、構造物の建設には、地下部分(基礎杭等)の工事に多くの費用がかかります。
――道路網の現状は
永石 道路整備の基本的な施策としては、総合計画2015というのを作成しており大きく3つの柱からなっています。1つは「幹線道路ネットワークの整備」です。これは西九州自動車道、有明海沿岸道路、佐賀唐津道路、国道498号の4つの道路を幹線道路として位置付け、整備に取り組んでいきます。合わせて国道3号、34号については直轄ですが、整備が遅れていますので、取り組んでいきたいと考えています。もうひとつは「くらしに身近な道路の整備」ということで通学路の歩道整備などについてもしっかりと取り組んでいきます。あと1つの「道路防災の推進」についても、防災対策に加えて、橋梁の長寿命化について今後しっかりと取り組んでいきます。これらの施策の中で「広域幹線道路ネットワークの整備」と「交通安全対策」について特に重点的に取り組んでいきます。
高規格幹線道路は、西九州自動車道を直轄で整備されています。
地域高規格道路は、有明海沿岸道路の福岡県区間及び大川佐賀道路は直轄で整備されていますが、福岡県側はかなり整備が進んでおり、佐賀国道事務所が今後佐賀県側の整備を進めていく方針です。昨年、県境に架かる早津江川橋を着工していただいており、今後の事業の急速な進展を期待しています。県では続く佐賀福富道路および福富鹿島道路について事業を進めていきます。
佐賀唐津道路の多久佐賀道路(Ⅰ期)(約5㌔)については直轄で整備を進められていますが、国道34号と有明海沿岸道路をつなげる4.2㌔区間については県が佐賀道路として事業を行っていきます。都市計画決定とアセスメントが昨年度完了し、このほど同区間は新規補助事業採択されました。
他は、国道498号で若木BPなどを事業中です。
九州縦貫道、九州横断道長崎道などが広域的な幹線道路としての機能を担っています。ただ、国道・県道の整備率は52.7%で全国平均の60.4%をかなり下回っており、整備促進が必要です。整備率が低いのは国道の4車線化が進んでいないためで、その影響は佐賀市や物流の拠点である鳥栖市などで顕著です。