道路構造物ジャーナルNET

計画的に対策しLCCを縮減

ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画を策定

兵庫県
県土整備部 土木局 
前 道路保全課長(現 姫路土木事務所長)

濱 浩二

公開日:2015.05.01

 兵庫県は4,628橋の橋梁と100本のトンネルを管理している。70年代以前に建設した橋梁は全体の過半数を占めている。鋼桁では近い将来、多くの箇所で塗替えが必要になっていくことが考えられるほか、PC桁については、グラウト充填不足を原因とする軸方向ひび割れなどの深刻な損傷が発生している橋梁が比較的多い、としている。ほか、耐震補強やトンネル、長寿命化対策などの話題を中心に兵庫県県土整備部土木局の濱浩二道路保全課長(取材当時、現 姫路土木事務所長)に聞いた。(井手迫瑞樹)

コンクリート桁の健全度は両極端
 支承に損傷が多くみられる

 ――管内の橋梁・トンネルの概要から
 濱課長 兵庫県が管理する橋梁は4,628橋で橋種別では鋼橋が788橋、RC橋が2,742橋、PC橋が1,098橋となっています。供用年次別では1960年代が1,064橋、次いで70年代が975橋となっています。70年代以前が2,642橋と全体の過半数を占めます。
 延長別では15㍍未満が3,099橋を占めています。路線別は一般国道が975橋、主要地方道が2,113橋、一般県道が1,540橋となっています。
 県管理のトンネルは100本あり、工種別ではNATMが58本、矢板工法が34本、開削工法が8本となっています。供用後50年以上は4本、40年以上50年未満が12本、30年以上40年未満が21本、30年未満が63本となっています。
 ――点検を進めてみての構造物の劣化状況と損傷傾向は
 濱 
橋梁については平成26年度で2巡目の点検を完了しました。ただし改正道路法に基づく近接目視をすべての橋梁に実施できているわけではありません。同法に基づく点検は27年度から行います。
 一般に経過年数に応じて健全度が低くなる傾向が予想されましたが、予想に反して経過年数と健全度の相関性は低いと考えられる結果を得ました。点検により損傷状況を確実に把握することの重要性を再認識しました。


              橋長別橋梁数

                    供用年次別橋梁数

             建設年代別トンネル数                            延長別トンネル数

 工種別では鋼桁では健全度が高い割合が小さく、ある程度損傷している(健全度60~40程度)状態の割合が多いことが確認されました。端部の腐食や塗膜の劣化など、近い将来に多数の鋼桁が塗替え時期に達すると予想されます。

 
                        鋼桁の健全度状況    

 コンクリート桁は、健全度が高い状態のものと極めて低い状態のもの(深刻な損傷が発生しているもの)の2つに大別される傾向が見られました。良好な施工や塩害対策が十分に確保されていれば、経年的な劣化は生じにくいですが、これらが確保されていないと深刻な損傷に至るものが多いと推測されます。


                                       コンクリート桁の状況

 部材別にみると、支承の健全度が低い傾向が圧倒的に見られました。桁端部に設置している支承は、荷重による損傷、湿気が抜けにくく伸縮装置からの漏水の影響などによる損傷が半々で進行することが確認できます。点検においては、まず桁端部および支承周りを特に重点的に確認することが重要です。


                                                       床版の健全度

                                   支承の健全度状況

 ――コンクリート桁(支承含む)の損傷状況が先述のような状況になったのはなぜでしょうか
 濱 初期の施工不良や塩害(凍結防止剤散布も含む)による影響が多いためです。損傷は桁端部に限らず桁全般に点在しています。


                      部材別健全度状況

 また、PC桁については、軸方向ひび割れなどの深刻な損傷が発生している橋梁が多く、それらはグラウト充填不足が原因と見られています。この損傷については経年ではなく材料(グラウト材)や施工管理の問題であると考えます。また支承については、コンクリート橋における鋼製支承の維持管理(再塗装工など)が疎かにされていたことが原因と推測しています。





                       経過年数別健全度

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