道路構造物ジャーナルNET

新たな良きパートナーを得て、さらに国民の安全・安心に寄与

宮地エンジニアリンググループ株式会社
代表取締役社長

青田 重利

公開日:2014.12.10

 宮地エンジニアリンググループは11月7日、三菱重工業の子会社である三菱重工鉄構エンジニアリングの株式の内51%を平成27年4月1日付で取得し、同社を連結子会社化すると発表した。新会社の名称は「エム・エムブリッジ」となる。連結子会社化の狙いと今後の宮地エンジニアリンググループをどのように引っ張っていくのか、宮地エンジニアリンググループの青田重利代表取締役社長に聞いた。(井手迫瑞樹)

事業規模の拡大
事業ポートフォリオの多角化

 ――先日、三菱重工鉄構エンジニアリングを連結子会社化するということを発表されました。同社をグループ化することで、どのようなシナジーが見込めると考えていますか。
 青田社長 まず「連結子会社化」との言葉ですが、あくまでも法令上での表現であり、今回のアライアンスに於いて、私達が目指している目的に必ずしも相応しい表現とは考えていません。私達は厳しい事業環境を共通認識し、加えて相互理解と相互補完を行いつつ社員一人一人の知恵と汗をまとめて橋梁業界の土俵で存在感を示し、よって国民の安全と安心に寄与するグル-プを構築していきたい、が両社の基本的なコンセプトです。その意味で当社にとっては良きパ-トナ-を得たとの思いです。


(左)牛根大橋(九州地方整備局)H19(三菱・宮地・高田JV)、(右)東京ゲートブリッジ海上部アプローチ橋梁(関東地方整備局)H23年(宮地・三菱JV)

 次に、本題に入る前に前提条件と宮地エンジニアリンググループのこれまでの取り組みからお話しします。
 ピーク時の1995年には89万㌧強の鋼橋発注量がありましたが、これを当時70数社あった橋建協加盟会社とローカルファブなど200数十社が受注している状態でした。
 他の業界の例を見みても当時からこうした状態は長続きしないと考えていました。平成12年に将来の橋梁業界と将来の保全事業の在り方についてレポートをまとめたことがありますが、その中では他の業界同様全国を網羅するファブは5、6社程度になるという予測を立てました。現状を見てもそのような方向に行くのではないかと考えています。
 鋼橋ファブがゼネコンと違うところは装置産業であるということです。当社でも工場の固定費に相当の費用がかかります。それを前提に経営戦略を立てなくてはいけません。橋建協76社の加盟会社が34社まで減った過程を見ると、ミル系ファブや重工・造船系の一部は事業の選択と集中によりいち早く撤退しました。また、専業でも急激な事業環境の変化に対応するために合併やグループ化あるいは事業規模を縮小し、対応できなかった会社は撤退を余儀なくされました。当社は当時、勿論現在も続いていますが、厳しい事業環境でも生き抜くことができる会社に脱皮することを早くから目指してきました。
 そのための絶対的条件は、一定の事業規模(=体力)とポートフォリオの多角化の実現です。
 事業規模という点では、旧宮地鐵工所と旧宮地建設工業を合併することでファブとエンジニアリングの融合を図りつつ事業規模を拡大し、一方では鉄骨事業から撤退して松本工場の操業を停止するなど、いち早くグループ内で選択と集中を進めました。その間に2度にわたり、従業員に痛みを強いる構造改革を行い大変な苦労をかけました。今年度株主への復配にこぎつけられたのも、こうした社員、協力会社の理解と協力による構造改革の賜物と考えています。
 次に事業ポートフォリオの多角化ですが、旧宮地鐵工所は鉄骨事業から撤退することで、鋼構造事業は橋梁だけになりました。しかし、旧宮地建設工業と合併することで免震・耐震事業や東京スカイツリーに代表される超高タワーやドーム等の大空間鋼構造物、JRや私鉄橋梁等、製作から架設までを一括して対応できる分野が広がりました。また、新規事業として松本第二工場跡地を利用して2MWの太陽光発電所を建設中で、来年1月には完成する予定です。更に松本工場の跡地利用についても有力案件があり、鋭意検討を進めるなど事業の多角化を着実に進めています。課題は主力の鋼構造物の多角化の実現です(後述)。

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