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年間1万㌧の処理能力、最大100㌧保管できる倉庫も備えつけ

三池製錬 MF炉を用いてPCBや鉛含んだ既設塗膜くずを無害化処理

公開日:2016.08.17

 2001年に定められたPCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物適正処理の特別措置法で、PCBを含有する塗膜は2016年までに廃棄完了することとなった。その後、法改正により2027年までの廃棄期限を延長されている。1960~70年代に塩化ゴム系塗膜の一部に可塑剤として用いられたことはよく知られており、そうした鋼橋塗膜の処理はコンスタントに行われている。しかし、ここにきて、最近塗料の中にも意図しない形で極微量のPCBが含有されている可能性があるなど、各発注機関は対応に追われている。
 PCBは許認可施設のみで処理される。焼却炉や溶融炉などにより所定温度以上で燃焼させることにより無害化処理される。
 一方で、都市高速道路の労働災害に端を発し、厚生労働省と国土交通省から2014年5月30日に「鉛等有害物を含有する塗料の剥離や掻き落とし作業における労働者の健康被害防止について」文書は、鉛などを含有する既設塗膜の塗り替えの際、原則として湿式雰囲気の中での塗膜除去を推奨する内容として、鋼橋をはじめとした全国の鋼構造物塗り替え現場に大きなインパクトを今なお与え続けている。鉛含有塗料は今でこそほぼ廃止された状況だが、少なくとも1997年度より(「塗料の鉛リスクリダクションに関わる日本塗料工業会宣言」)以前は、多くの橋梁で用いられており、今後の塗り替えにおいても1種ケレンによる塗り替えが同年度以前の橋は原則鉛含有塗膜と考えても良い状況にある。こうした湿式もしくはその他の処理方法(エコクリーンブラスト工法など)で除去される既設塗膜は年間30万平方㍍に達する(本社試算)。  そうした中、福岡県大牟田市に工場のある三井金属子会社の三池製錬は、年間1万㌧の処理能力を有する低濃度PCBおよび鉛含有塗膜くずなどを処理する設備を立ち上げ、営業を開始した。その設備内容と狙いについてルポをまとめた。(井手迫瑞樹)


三池製錬

炉の温度は1,400℃
 鉛等は再資源化可能

 三池製錬が塗膜くずの無害化処理に用いるのはMF(三井式亜鉛半溶鉱炉)炉というもの。1965年から操業している炉で、86年に亜鉛製錬を中止した後は製鋼煙灰や亜鉛含有汚泥などの廃棄物処理に転換し、02年からは溶融飛灰の処理も開始している。炉の温度は1,400℃と、PCB処理に必要な温度(850℃)を遥かに超えており、滞留時間2秒以上の燃焼条件も維持し、全ての規制値を満足しており、容易に無害化処理が可能だ。また、鉛含有塗膜は、MF炉で溶融させ鉛成分を揮発化した上で、二次空気により酸化し、粗酸化亜鉛として亜鉛と共に回収され、亜鉛・鉛の製錬原料としてグループ会社に送り、再資源化する。なお、塗膜くずは塗膜剥離剤と混じったものだけでなくブラストなど金属研削材を含有したものでも対応可能で、塗膜除去の際に用いた防護服や養生シート、工具、ウエスなどについても処理できる。


MF炉の一部/製団鉱

自分で保管する費用を抑制可能
 床も不浸透材料を塗布し汚染を防止

 同工場では、PCBや鉛を含有する塗膜くずを安全に保管するための倉庫(建屋面積700平方㍍)を新たに作った。最大100㌧程度を保管できる倉庫であり、低濃度PCBや鉛含有塗料を除去する発注者や施工業者は、自分で保管する手間や費用(通常、除去後は専用の仮置き場を設置する必要がある)を抑制できる。また、保管倉庫は汚染を防止するため床に不浸透材料を塗布している。低濃度PCBおよび鉛含有塗料廃棄物は基本プラスチックペール缶(プラスチック製の密閉容器)に移し替えて処理するが、ドラム缶でも受け入れ可能。ドラム缶で受け入れする際には倉庫内でペール缶に移し替えた上で処理工程に入る。


最大100㌧程度を保管可能な倉庫

 処理工程は、作業員の安全及び廃棄物の飛散を避けるため、自動化を徹底している。具体的には投棄口(写真)にペール缶を入れるだけで、ベルトコンベアのように炉まで自動的に運搬し、燃焼・無害化処理できる。倉庫からMF炉までは100㍍以上があるが、外部からは密閉された形で運搬されるため(写真)途中漏えいや飛散などが起きる心配はない。中身を移し替えた後のドラム缶は、専用の破砕機(写真)で破砕した上で、塗膜くずと同様にペール缶に入れて、同様に投棄口からMF炉に運ばれ焼却・無害化処理(鉛の場合は再資源化)される。


廃棄物は投棄口から

エレベーターで上に運ばれ、右写真左上から真ん中に見える密閉されたライン上を伝って炉に運ばれる

ドラム缶などを処理する専用の破砕機も備えている

ターゲットは全国
 三井金属グループ全体で取り組む

 同社は「まずは九州、同時に全国をターゲットに低濃度PCBや鉛を含有する塗膜くずの無害化処理を手掛けていきたい」(德一博之社長)としており、特に亜鉛・鉛に関しては「世界的に鉱山の閉山が相次いでおり、当社が再資源化できる技術を有しているということをアピールして、環境負荷の削減と合わせてメリットを発信していきたい」と述べている。また、鉛無害化処理に関しては三井金属グループの八戸製錬(青森県八戸市)や、竹原製煉所(広島県竹原市)なども「対応可能」(同)であり、三井金属グループ全体として鉛など含有塗膜の無害化処理・再資源化に積極的に提案していく考えだ。

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