道路構造物ジャーナルNET

プレキャストPC床版・壁高欄で施工期間を短縮

NEXCO中日本 東名道用宗高架橋リニューアル工事

公開日:2016.06.21

規制・現場施工
 今回の工事では5月18日から7月1日までの45日間、下り線側を約2.4㌔通行規制して施工する。床版を取り替え、橋梁の長寿命化を図ることが目的とはいえ、利用者負担は極力減らしたい――。そうした点では用宗高架橋は上り線側の路肩幅員が3.25㍍あったことが幸いし、下り線を全面規制するものの、その幅員を有効活用することで下り線を上り線にシフトしても上下2車線の交通を確保しながら施工することが実現できた。


交通規制時の車線運用/上下2車線の交通を確保しながら施工できる

規制完了状況

 床版の撤去・架設は、1日に6~7パネル(1パネルは橋軸1.95×直角12.5㍍、重量約13㌧)を撤去(撤去時は橋軸1.95×直角5.5㍍、5.5㌧に小割する)および架設していく。周辺環境への配慮のため、日中にワイヤーソーやダイヤモンドカッターで既設床版を切断してジャッキで桁と引き剝がし、170㌧クレーンで吊り上げて撤去し、夜間にプレキャストPC床版を同様にクレーンで設置する工程を繰り返していく。間詰め部は橋軸直角方向の鉄筋を配置して、一括でコンクリートを打設する方法を採用した。床版下面が鋼板で覆われているため、撤去時の時間的な作業工程を考慮し、事前に鋼板を取り外して施工するなど配慮したが、それでも既設床版内のIビームが曲がって配置されていた箇所もあり、切断の際、大きな労力を要した。また、基本的に非合成構造であるが、過年度の床版取替の際、一部合成桁化している箇所もあり、そうしたことも念頭に入れながら施工した。クレーンの使用に際しては、主桁の設計年次が古く、荷重を局所集中すると損傷する可能性があることから、架設時の検討(応力状態)を詳細に検討して作業計画を立案し、施工している。加えて撤去・架設時の旋回半径は、安全を考慮し(上り線や直下のJR線に影響を与えないよう)下り線の幅員内に収めるように慎重に運用した。最終的には実動5日間で全33パネルの取替を完了した。


壁高欄の切断(左)および撤去(右)

床版の切断(左)および剥離(右)

床版の撤去(左)/撤去が完了した状況(右)

 継手部は、合理化継手構造を採用している。ナット付鉄筋(エポキシ樹脂塗装鉄筋「MK-エポザク」を使用)と橋軸直角方向鉄筋で構成させる構造で、接合面のコンクリートにはせん断キー(間詰めコンクリートの耐久性を向上させるための凹凸面)を有している。ループ鉄筋が不要なため、床版厚を薄くする(最小170㍉、ここでは200㍉)ことができる。ナット付鉄筋は、前後の床版が交互にずれるように配置されているため、設置作業時に鉛直に吊下ろすことが可能。間詰め幅もループ継ぎ手に比べ50㍉程度狭い280㍉にできるため、現場での施工量の低減、耐久性の向上が実現できる。


PC床版の架設状況

架設完了したプレキャストPC床版(左)と間詰めコンクリートの打設

 壁高欄は、中央分離帯側にDAK式プレキャスト壁高欄を使用している。今回の工事では、橋面上での作業性から通常の長さ4㍍から2㍍に短縮し、重量の問題から短いプレキャスト部材長とした。


DAK式プレキャスト壁高欄の設置状況(左)と設置完了状況(右)

 現在は、高性能床版防水工を施工中。その後、舗装工・その他仕上げを行い、7月10日までにもとの車線運用に完全復旧させる予定だ。その後は、設置した足場を用いて、同区間上下線の鋼桁の塗替塗装も行う予定。塗り替え面積は7,256平方㍍。工期末は、来年2月21日の予定。
 現場の作業人員はピークで約45人。受注者は川田建設株式会社。一次下請は、佐野塗装、大林道路、ニチレキ、秩父産業、岡部、協和整美、杉山レッカー、長谷川建設、川崎技興第一カッター興業、名南電機興業。足場供給先は日綜産業

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム