道路構造物ジャーナルNET

橋梁を全面塗り替え 支承交換など

NEXCO西日本 沖縄道許田高架橋で大規模な塩害補修

公開日:2016.06.20

台風対策にメッシュパネルを使用
 全面板貼り、防炎シートで覆って施工

 吊足場
 基本的に吊足場床は、全面板貼り、側面も防炎シートで覆った中で施工している。これは直下を国道58号が走っていること、海岸部は沖縄海岸海浜国定公園に指定されていること、人家が近いことなどが理由で、施工中の除去した塗膜の飛散や騒音の抑制、工具類の落下などを防ぐための必要な処置。所与の環境条件から、塗膜はく離なども特殊技術を採用している(後述)。また、沖縄県内での施工は初夏から晩秋にかけて襲来する台風が来た際に耐えられる足場を構築しなければならない。そのため、一番外側にメッシュ状のパネルを設置して置いている。通常の朝顔であればコンパネを張って終わりだが、今次の現場では強烈な台風が来た際に、コンパネの一部を外して、メッシュパネルの状態にして台風をやり過ごすという工夫を行っている。メッシュパネルを使うことで、中の器材も網に引っ掛かり外に飛んでいくことはないようにしている。


メッシュ状のパネルを採用

鋼製支承からDRB支承に取替  防食はTAPS溶射を採用

桁補修・支承取替
 支承取替は基本、橋脚1基ごとに施工し、現在の鋼製支承をDRB(ディスク型高面圧ゴム、川金コアテック製)支承に取り替える。DRBを採用したのは耐久性能を向上させながら、支承の全高(300㍉前後)を取替前後で変えず、取替後の支承が下部工に埋り込む不具合を解消させるため。対象となる橋脚の主桁全体を2㍉程度ジャッキアップして交換するわけだが、ジャッキアップによる変形量を管理するために変位計をセットして、パソコンに取り込み数値をディスプレイでリアルタイムに確認して管理しながら取り替える。また、防食性能を向上させるため支承の鋼部材は全てAl-Mg合金溶射(TAPS工法)を施している。また、端部で腐食が進行している鋼桁、ジャッキアップのための耐力が不足している箇所については部材取替や当板などによって補修・補強を事前に施している。また支承取替後では施工困難な桁端下フランジ部も全てAl-Mg溶射(TAPS工法)により施工している。


主な外面塗装仕様と金属溶射仕様の境界処理計画

2㍉程度ジャッキアップして施工/TAPS溶射で桁端部と支承を防食

現行支承とほぼ同厚のDRB支承を採用/溝を作って沓座に水が溜まらないように工夫

 支承取替に伴い沓座上面は基本的に補修しているが、橋脚の横断勾配の関係で、モルタルの仕上げ面が既設の沓座より低くなった箇所については、溝を作って沓座に水が溜まらないように工夫するなど耐久性向上のため細部にも拘っている。

高力ボルトもTAPS溶射 添接板はJIS溶射
 狭隘部も施工可能なノズルで現場溶射

 高力ボルト及び添接板の取替
 次に高力ボルト及び添接板の取替工事である。まず防食方法は、添接板内面の母材(添接板の幅+左右10㌢幅)はTAPS溶射、添接板そのものは工場でJIS溶射(ガスフレーム)にて防食する。一方、高力ボルトはTAPS溶射を施した工場製品を使用する。添接板と鋼桁母材は異なる溶射工法を用いているため、摩擦接合部のすべり耐力については事前に試験を行い、所定の性能であることを確認した上で採用している(溶射材料はAl-Mgで統一)。母材にTAPS工法を採用したのは添接板の上フランジは取り替えることができず(床版に埋まっているため)、そうした狭隘部や支承周り、桁端部に対して対応できる溶射用のノズルを保持しているのは同工法しかないためだ。TAPS装置は同時に4セット使用している。


溶射ガン/狭隘部でも施工できる

Al-Mg溶射概要図/溶射フロー図

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