道路構造物ジャーナルNET

1200㍍が高架、460㍍がPC・PCaU型ボックス構造

首都高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事の現場を記者団に公開

公開日:2016.06.01

東京五輪までに既設線の交通を迂回路および更新線に移す
 現在は埋立道路がほぼ完了、桟橋構造も今夏完成目指す

3、工事ステップ  首都高速道路の説明によると、本工事は大きく分けて4つの時期に区切られる(左図はステップ1および2)。ステップ1が工事用道路・迂回路の設置工で、工事開始から平成29年度夏から秋までに完了させる方針。現在はこれを進めている状況で、工事用道路は、護岸に沿って砕石と土嚢、覆工鋼板によって構成された陸側の埋立道路とそのさらにモノレール側に構築される桟橋形式の海側の道路で構成される。桟橋構造は6㍍ピッチで4本の杭打設による簡易橋脚が設置され、その上に桁を載せる構造(杭基礎の深さは本橋同様30㍍程度)。約1,500㍍は桟橋構造だが、鮫洲埋立部付近の約400㍍のみ現場の地形条件から、盛土構造となる。現在、埋立道路についてはほぼ完成しており、桟橋構造も「夏が終わるころには完成させる」(首都高速道路)としている。


埋立道路は一部を除いてほぼ完了している(井手迫瑞樹撮影)

桟橋構造も今夏中に構築する予定

迂回路工はパイルベント橋脚を採用
 上部工は連続鋼鈑桁、PCaRC床版

 桟橋構造完成後、埋立道路を資材運搬、桟橋を架設用重機の土台として用いて迂回路を建設する。構造はほとんど(1,830㍍)が高架形式であり、パイルベント橋脚の下部工、連続鋼鈑桁の上部工、プレキャストRC構造の床版を用いて構築する。また大井北埠頭橋との交差部(約170㍍)のみ、PC梁スラブ構造による半地下形式を採用している。仮橋について従来の桟橋構造ではなくパイルベント構造を採用したのは、杭本数の削減により、周辺への圧迫感、煩雑感を緩和できることや、桁下空間を広く確保できることで工事用道路としての活用が可能になることから採用した。施工にあたっては、周辺構造物への影響を低減するため、回転鋼管杭を用いる。
 こうした工程を平成29年夏~秋ごろに完了させる予定。

 ステップ2は更新上り線の工事であり、平成32年夏までに完了させる予定。具体的には現道上り線の交通を迂回路に切りまわした後に行われる作業で、現道と桟橋との間の狭い空間(幅5㍍程度)に更新上り線を建設する。東京五輪は「ここまでのステップが完成し、既設道路上から更新線や迂回路に交通を全て移した状態で臨みたい」(同社)としている。

 ステップ3は更新下り線の工事であり、平成35年中ごろまでに完了させる予定。下り線を更新上り線に切りまわした上で、既存路線を使い更新下り線の建設を行う。
 最終ステップが迂回路撤去工で、これは工期内の完了を予定している。

ステップ3と4の概要(首都高速道路提供)

大井水管橋は東品川側の1径間をトラス橋に架替え
 大井JCT橋は一部50㍍程度の桁などを撤去し架替え

4、大井水管橋と大井JCT橋の一部架け替え
 大井水管橋は現在、2径間の鋼ランガー補剛形式(79.8㍍×2)だが、更新後の高速1号の桁位置(水面からの桁下クリアランス20㍍程度の位置を通過する)から東品川側の桁の上弦材付近が干渉してしまうため、思い切って落とし、桁高の低い鋼トラス橋に架け替える。既に作業用桟橋工に着手しており、最終的には水管橋に沿って逆L字型の桟橋を運河上に構築するとともに東品川側の陸地にもベントを建て、それを用いて既設桁を6ブロック程度に小割にして撤去、新設桁は八潮側から横取り、縦取りして既設桁と平行になる箇所まで移動させ、き電停止後の僅かな時間を用いた夜間施工で横取り架設して完成させる。撤去・架設とも今秋の予定だ。


大井水管橋、手前は撤去・架設用に構築されつつある桟橋(井手迫瑞樹撮影)

水上から見た大井水管橋。写真右側の桁を架け替える(井手迫瑞樹撮影)

架け替え概要/架け替え後のイメージ(首都高速道路提供)

 大井JCTは6月8日から平成31年9月末日までの40カ月間、湾岸線東行から羽田線上り行きについて一部通行止めを行う。通行止め期間内に同部分の2径間部約50㍍および陸上部の橋脚を撤去し、31年9月末に迂回路、更新線建設完了時には本線につなぐ構造とする。なお迂回路との接続時も(仮橋ではなく)本橋に準じた構造で建設する予定だ。


左側の運河内ラーメン橋脚の右側以降の桁50㍍と陸上部の橋脚を撤去する(井手迫瑞樹撮影)

陸上部の桁と橋脚。ここも本線とモノレールを跨ぐため慎重に作業する必要がある(井手迫瑞樹撮影)

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