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現場を巡る詳細

三井・川田JVが施工

大分県大田杵築線バイパス事業 石山ダム湖上にニールセンローゼ桁を架設

 大分県別府土木事務所は、旧大田村と旧杵築市を結ぶ大田杵築線についてバイパス事業を進めている。現道は非常に幅員が狭く、線形も山道のため悪く、縦断線形も急勾配が多い。そのため交通の安全性が乏しく地域間交流の障害になっていた。その解消を目的として平成5年から事業が進められており、平成5年~11年に進められたⅠ期工事で波多方トンネルを含めた区間6.9㌔を開通させた。現在のⅡ期区間2.5㌔は平成10年度から施工中であり、今回紹介する大田杵築1号橋は石山ダムを跨ぐ個所に架けられている。その現場ルポについて詳細を報告する。(井手迫瑞樹)


6%の下り勾配を有する

1.構造概要

 同橋は下部工が逆T式橋台と張出式橋脚。上部工の構造形式はP1~A2が単純下路式ニールセンローゼ桁、橋長172.5㍍、支間長170.35㍍、有効幅員(車道部7㍍、歩道部2.5㍍)、鋼重が1,258.3㌧。橋格はB活荷重、縦断勾配は結構ありP1からA2側に6%の下り勾配を有している。A1~P1は橋長40.5㍍の鋼単純鈑桁橋となっている。石山ダム湖をショートカットする箇所に架けられていることから、スパンを飛ばすためにニールセンローゼ桁が採用されたものだ。


施工位置図


架設計画図(左)/完成予想図(右)


狭隘なヤードの中220㌧クレーンを用いて鉄塔を構築

 ワイヤリング作業は2ヶ月で完了

2.施工概要

 平成27年6月に現場事務所を立ち上げケーブルクレーンを支える鉄塔の構築にP1橋脚側から着手した。施工期間は2ヶ月を要し、作業には220㌧吊りクレーンを県道上に据え付け作業時間中は、全面通行止を行った。地域住民からの協力を得て、苦情もなくP1側鉄塔を構築することができた。そこから220㌧吊りクレーンをA2側へ移動し鉄塔を構築する。狭隘なヤードであったが2ヶ月で完了した。ワイヤリング作業は高所作業を伴い危険な作業となるが目標にしていた2ヶ月でワイヤリングを終える事ができた。


2015年12月の施工状況

 年明けからP1側の横桁、隅角部材を架設しアーチ部分の架設をケ-ブルクレーンで行う。1ブロックが13㍍前後の延長で20㌧前後重量となる。一度に2本(左右併せて40㌧前後)同時に架設7する計画で7ブロックを架設しA2側を同じ要領で架設し最後に閉合ブロックを入れて完成する。3月末にはアーチ部分が完成予定となる。


現場取材した2月19日には片側のアーチ桁架設が大きく進んでいた。

 補剛桁もケーブルクレーンで架設するが、「落とし込むのではなく、アーチ部仮設と同じく、下からすくい上げるようにして架設していく」(元請の三井川田JV)。ブロック数は隅角を入れて19ブロック。1ブロック当たりの重量は20㌧程度。架設は両サイドの隅角部架設後P1及びA2交互に架設を行い中央で閉合させる。補剛桁架設は同様にケーブルクレーンで架設、斜ケーブルを利用しながら架設を行って行く。

       

3.現場での創意工夫

 A1側鉄塔構築の際、県道の全面通行止めに伴う迂回路設定に伴い周辺住民へ周知徹底、近隣運送事業者への事前調整等をおこなった。作業時間外は片側交互通行で交通解放するため、安全対策について県道上に停車させた220㌧吊りクレーンへの一般車両追突防止のため、狭い県道上に周知看板等設置し最大限の注意をはらった。


A2側アーチ桁上からA1側を望む(2月19日)

 A2側鉄塔構築前に今後の架設作業の効率化を図るため、資材等ヤード確保のため造成をおこなった。そうすることで資材等の取り回しがスムーズになり効率化を図ることが出来る。

 アーチ桁は、15ブロックに分かれている。当初の架設計画ではA2側7ブロックを架設、次いで、P1側7ブロックを架設、最後に閉合ブロックを入れて完成となるものだった。しかし7ブロック目は斜吊りケーブルで吊られた状態でなく、張り出し状態で約1ヶ月置かれてしまう。「反対側が架設し終えるまで1か月ぐらいそのまま張り出した状態にするわけにはいかない(突風等、不測の事態を考慮)P1側の7ブロック目を閉合ブロック後回しにし、A2側の7ブロック目の仮設が完了した後、P1側の7ブロック目の張り出し架設をして閉合ブロックを架設するよう架設計画を変更」(同)して施工した。A2側の7ブロックは斜吊り索に干渉するため、下から上に巻き上げる手法で架設している。


ブロック配置図


3月12日時点での進捗状況


閉合したアーチ桁(撮影は3月26日)


変形の際微調整が行えるようジャッキを設置

 補剛桁をかける際に気を付けているのが水平力への対応だ。

 ニールセン桁は架設の際、アーチが変形しようとする水平力が働く。そのため下部構造は両サイドとも橋台であることが多い。しかし今回は片方が橋脚であるため、橋脚側において水平力により後ろに67.6㍉ほど逃げてしまう。当初設計では架設後に復元するイメージとなっているが、「戻らない場合取り返しがつかない」(同)。そのためアーチを閉合するに際して、A2橋台に500㌧ジャッキを4台設置して、変形の際微調整が行えるように設置した。桁にもPC鋼棒を使って引っ張り込む冶具を工場の桁製作時点で設置し、隙間が大きい場合はそれで引き込んだ上で架設する計画としている。補剛桁架設は6月中旬の完了を予定している。

 施工は橋梁特殊工8人、職員4人で施工している。部材の運搬も制限されており、カウンターウェイトを考慮すれば、一気に施工できる現場でもないため、人員は必要最低限に抑えている。また、上弦材架設が1月からの寒冷時期にあたり作業員並びに職員の体調管理並びに高所作業に伴う事故等に備え、作業員一人一人への安全教育、作業手順確認、注意点を徹底教育しこれまで無事故で閉合を迎えることができる。補剛桁架設後はケーブルクレーンや鉄塔などを解体し、床版工を施工していく。同JV施工分の工期は29年2月末までの予定だ。(井手迫瑞樹)