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現場を巡る詳細

劣化原因の除去と耐震補強を両立

愛知県 日名橋 ゲルバー部を連続化して耐震補強

 愛知県西三河建設事務所は、昭和38年に供用した日名橋について今後6年間で補強していく。同橋は主要地方道名古屋岡崎線の矢作川渡河部に架かる橋梁で、9箇所のゲルバーを有する鋼9径間ゲルバー鈑桁+鋼単純合成鈑桁橋である。平成22年度に行った詳細調査の結果、ゲルバー部の伸縮装置からの漏水などにより車道部のゲルバー部全ての支承が腐食損傷しており、早急に補修が必要という事態に迫られた。今回の工事では再劣化の防止、損傷要因の除去を目的としたゲルバー部の連続化を行うと共に連続化することに伴う温度移動量に対応するため、橋脚上にある全ての支承を免震ゴム支承に取り替える。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


特殊高所技術によりゲルバー内部の支承損傷を発見

 後施工した橋脚梁にASRが発生

損傷状況

ゲルバー部の損傷状況① 特殊高所技術で腐食が見つかった


ゲルバー部の損傷状況② 特に腐食の著しい可動支承はアンカーボルトが手で抜ける状態

 ゲルバー部の損傷は従来の調査では見つからなかったもので、平成22年度に詳細調査のための近接目視点検を特殊高所技術で行ったところ、ゲルバー部の支承が全部何らかの形で腐食しており、特に腐食の著しい可動支承はアンカーボルトが手で抜ける状態に達していた。塗替えはその都度行っていたというが、ゲルバー部の塗り替えは(狭隘なため)十分に行えていない状況であったことから、最終的に著しく腐食してしまったものと考えられる。「常時は問題ないが、水平力のかかる大きな地震には耐えられない状態」(同事務所)となっている。また、同橋の橋脚梁は昭和50年に歩道を拡幅した際に作られており、PCによる後打ち構造となっている。その部分にASRが発生している状況にある。過年度に橋脚2基で炭素繊維シートを梁全面に貼り付ける対策を行っている。一方で橋脚上の支承は雨水などがかからない状況のため、全て健全だった。


ASRにより損傷した橋脚梁


炭素繊維シートにより補強した橋脚梁/橋脚上の支承は全て健全だった


継ぎ目部からの漏水による損傷


ゲルバー連結は鋼板添接による

補修・補強(耐震)

 基本的な対策はゲルバー部に鋼板を添接して連続化する。漏水を防止するため、ジョイント(ゲルバー直上にある)は端部のみ残して全て連結する。床版連結部の施工はWJなどではつって既設鉄筋を出し、補強鉄筋を配筋し、ジェットコンクリートで一体化する。通行止めは夜間しかできないため半断面ずつ施工する。床版だけでなく地覆も全て剛結することで継ぎ目部分からの漏水をできるだけ防ぐ。床版そのものは過年度(平成7年度)に鋼板接着を全面で施工しており、劣化は生じていない。ただ「浮いている箇所はあるかもしれないので調査は必要」(同)としている。


全体写真


補強概要図


設計条件

 連続化することでゲルバー部の耐震性が向上し、漏水による桁の腐食ないしは、周辺部材の損傷劣化を抑制できる。ただし、橋長380㍍の連続桁となるため、既設構造(支承、橋脚など)が温度変化に追従できない。また同橋の当初設計は震度法で設計されており、既設支承部はL1地震(kh=0.2)相当の耐震性能しか有していないため、現行示方書(L2地震相当 kh=0.25)相当の耐震補強が必要となる。

 そのため橋脚上のピンローラー支承を全て免震支承に交換する。橋台部の支承のみすべり支承に交換する(後述)。また、橋脚についてもRC巻き立てによる耐震補強を行うが、上部工の補強によって、最低限の補強量(=250㍉厚、鉄筋も比較的細径のD19)に抑えられている。矢作川は河床洗掘が進んでおり、同橋でも一部の河川内橋脚でケーソンが洗掘されていたが、応力照査の結果、健全性や耐震性への影響はないことが確認されている(方針は左図)。

 ここで課題となったのは、吊桁を連続化(して40㍍スパンに長くなると)すれば(ゲルバー間を想定して25㍍スパンで設計している)吊桁部分の下フランジは許容値を満足しないことが分かり「下フランジを全部補強する羽目になった」(同)こと。(吊桁部の)主桁補強は単純な鋼板補強が難しいため、下フランジの125㍉上部のウエブ両側にフランジを増設するような形で水平補剛材を設置する。

 ゲルバーの劣化など、今回分かった様々な調査は、平成22年に特殊高所技術を導入し、初めてこの損傷を見つけることができた。以前は「検査路もなく、特殊高所作業車(BT-400)でも届かない位置にある」ため発見することは難しかった、という。今後は新たに検査路を設置することで点検を行いやすくする。