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現場を巡る詳細

既存ケーブルが腐食、一部が破断

首都高速芝浦地区 橋脚梁部補強用PCケーブルを交換

 首都高速道路は、高速1号羽田線の芝浦地区にあるRCラーメン橋脚の横梁補強のために設置したPC外ケーブルの張り替え工事を行っている。同橋脚は昭和36年に製作され、37年に供用されたもので径間長25㍍のPC単純T型桁を支持している橋脚。供用後の交通量とりわけ大型車の増加により、昭和40年代後半に橋脚の隅角部に最大4.5㍉幅のひび割れが生じたため、その補強のために昭和49年に横梁に沿ってPC外ケーブル(鋼より線)を設置して補強した。しかし、その外ケーブルを保護するために覆っていた鋼製ケーブルカバーに雨水が直接かかることやジョイントからの漏水によって腐食、孔食、カバー内に充填されているグラウトの不足もあり、鋼より線自体も腐食、破断を起こしていることが点検により確認できたため、今回損傷が確認されたケーブルを取り替えたもの。取り替えにあたっては、構造的には横梁の増厚、施工的には機械足場の活用などの選択肢があったが、高架下にも都下有数の交通量を誇る都道316号(海岸通り)があるため、建築限界、施工時の安全性などを考慮し、PC外ケーブルの交換、通常足場の設置に落ち着いた。以下詳細をレポートする。(井手迫瑞樹)


橋脚16基に設置 

 劣化原因はグラウト充填不足およびジョイント漏水

 損傷状況

 設置している外ケーブルは長さ約12㍍、直径約55㍉の鋼より線で、これを鋼製のケーブルカバーで覆い、内部はグラウトで充填している構造で、張力は100㌧に設定し応力超過分を充当する補強を該当する橋脚16基に設置している。


既設PC外ケーブルの一般図(左)/既設PC外ケーブルの設置状況(右)


既設PC外ケーブルの鋼製ケーブルカバー。白いチョークの線はその部分までグラウトができていたことを示す。

その上部は充填されていなかったと推定される

 平成21年に近接目視点検を行った結果、鋼製ケーブルカバーの腐食、孔食が確認された。次いで叩き点検を行った結果、グラウトの充填不足の箇所が見つかり、部分的にケーブルカバーを撤去して詳細に調査した結果、一部でケーブル本体も腐食、著しい箇所では破断が生じていた。その理由としてはグラウトの充填不足と、カバーに直接雨水がかかること及びジョイントからの漏水による損傷の進行が疑われる。カバーに直接かかった雨水やジョイント部からの漏水が定着部の鋼製ケーブルカバーをじわじわと腐食させていき、孔食に至った箇所からグラウト充填不足箇所に水が浸入し鋼より線本体の腐食、破断に至ったと推定される。


腐食したケーブルカバー(左)/グラウト未充填箇所でのケーブルの発錆(右)


グラウトの未充填(左)/主桁干渉部カバー切欠きでのケーブル破断(右)

 ただし、損傷は深刻な箇所もあれば軽微な損傷しか生じていない箇所もあり、何よりも橋脚本体に再度ひび割れが生じているというような深刻な損傷は起きていない。それでもなお同橋ではPCケーブルの損傷が見つかった14箇所(残る2箇所は健全性確認済み)を取り替えるという。


海岸通り上で施工

 予防保全的に交換する箇所も

 施工しにくい現場、予防保全を考慮

 現場は、海岸通りという都下有数の交通を誇る都道を側道に抱え、こうした補修補強工事をやりにくい箇所に相当する。損傷に関しては確かに個別によって差はあるが、グラウトの充填不足を考慮するといずれ損傷が起きる可能性は否めない。こうした理由から「鋼板を一部貼り付けたり、塗りなおしたりしても10年、20年先にはまた腐食する可能性がある。であるならば、取り替えて、ポリエチレン被覆のケーブルにした方がよい」(同)とし、予防保全的に取り替えた方が良いという判断に至った。


新設PC外ケーブルの一般図

仮緊張して取り外し、再設置

 無緊張状態を回避

 施工

 施工は、まず仮設ケーブルを付けて、それを仮緊張して軸力を導入した後に、現在の補強ケーブルの緊張を抜いて、切断撤去し、もう一度外ケーブルをつけなおして緊張した後に仮設ケーブルを除去する工程を採用した(右図)。仮設ケーブルを設置したのは、既設ケーブルを取り外し、(仮設ケーブルを設置せずに)新しいケーブルを取り付ける手法では、一時的に無緊張状態になってしまい、その際に橋脚隅角部や横梁中央部の応力超過が大きく新たな損傷を招きかねないためだ。


既設ケーブルと仮設ケーブルの配置状況