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白鬚橋はグレーチング床版を鋼床版に全面取り換え

蔵前橋で床版上コンクリートを打ち替え バックルプレートも一部交換

 東京都第六建設事務所は関東大震災時に復興対策として架設された蔵前橋および白鬚橋の長寿命化対策を進めている。その詳細を取材した。(井手迫瑞樹)

 蔵前橋は大正13年9月に着工され昭和2年11月26日に竣工した橋長173㍍、幅員23㍍の3径間鋼2ヒンジアーチ+RCアーチ(亀戸側12㍍強のみ)橋。関東大震災を受けて当時の復興局が蔵前橋通り(都道放射14号線)の隅田川渡河部(台東区蔵前~墨田区横網)に架けた橋梁であり、以来87年供用を続けている。建設時の設計は井浦亥三(復興局橋梁課)、下部工は復興局が直営施工し、上部工は石川島造船所(現IHIインフラシステム)が製作した。塗装色は非常に特色のある黄色を使用している。これは江戸幕府の米蔵があった当時を偲んで稲の籾殻の色を連想させた色を採用したため。また、高欄には蔵前国技館のあったご当地らしく力士を象ったレリーフが施されている。


           蔵前橋                                    蔵前橋の桁下   

 今回の長寿命化対策工事は床版上コンクリートの全面打ち替え、床版防水、舗装打ち替えおよびバックルプレートの一部交換(1500パネル中200パネル)である。蔵前橋の床版は下に向かって凸形状で先端部に水抜き穴を有するバックルプレート形式であり、床版上に網筋程度の鉄筋を配置し20㌢厚さ程度の軽量コンクリートを打設する構造を採用している。供用後44年経った昭和46年に1度コンクリートを打ち替えており、当時から床版防水も全面に施していたが、水抜き穴から漏水やエフロエッセンスなどが出ていたことや軸重載荷点付近や歩車道境界部を中心に錆が確認されたことから、対策工事に踏み切ったもの。網筋は床版下の床組み部材が25㌧荷重では現状持たないため、その荷重分を担当するべく入れたもの(供用当初は無筋コンクリートだった)。

 蔵前橋の12時間交通量は約26,000台、大型車混入率は11%に達する重要な橋梁であるため、上下5車線を全面規制せず1車線ずつ順番に規制しながら施工した。作業帯の幅は3㍍程度と狭くコンクリートをはがすために使うバックホウがぎりぎり入る状態であるため、「車両交通の安全への配慮を最優先にしながら」(元請の宮地エンジニアリング)施工した。


       網筋を配置し、その後コンクリートを打設                   石板に歴史が記されている

 コンクリート打接工の手順は、①まずコンクリートにダイヤモンドカッターで2、30㍉を残す部分まで刃を入れた後、コアスブリッターを入れて油圧で縁を切り、バックホウで起こし、コンクリートを剥がして除去した。その後網筋を配置して軽量コンクリートを打設、床版防水工(アスファルトシート系)、舗装を施工し、完成というもの。水の影響を少なくするため、今次の対策工では両側に建設当初あった排水枡を設置している。

 また、一部バックルプレートが損傷している部分については、コンクリート打ち替えに先立って取り替えている。古い橋梁であるため、添接部はリベットで留められていたが、今回は高力ボルトで添接した。

 面白いのは鋼製支承に用いられている現状の塗装。アスファルト系シート状のもので覆っており、損傷はほとんど見受けられないものの、塗り替えを検討している。


                         蔵前橋の長寿命化対策工事概要図