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設置面積は約3700m2

日綜産業「クイックデッキ」 中国道の床版取替工事で採用

公開日:2020.07.31

 日綜産業の先行床施工式フロア型システム吊り足場「クイックデッキ」が、NEXCO西日本が実施している「中国自動車道(特定更新等)千種川橋床版取替工事Ⅰ」で上下線約3,700m2に採用され、工期の短縮と安全性向上に寄与している。
 同システムは、基本構成部材がすべてシステム化されているため、専用工具を必要とせず、熟練工でなくても人力で組み立てられる。そのため現場設置にかかる日数の大幅短縮と安全性向上が図れる。また、トラスフレーム構造と高強度チェーンにより最大吊チェーンピッチ5m×5mを実現し、歩きやすく、広い作業スペースを設けられる。


上下線約3,700m2に設置された

広い作業空間を確保

耐震補強工事では制震ダンパーや座屈拘束ブレスなどを設置
 1m2あたり最大積載荷重350kgも評価

 同工事ではあわせて耐震補強工事も実施され、制震ダンパーや座屈拘束ブレスなどの500~600kgの製品を設置するため、1m2あたり最大積載荷重が350kgの性能も評価された。
 施工を担当しているオリエンタル白石・日本ピーエスJVの現場代理人・松永徹氏は「安全性を高めることを最重要項目とし、墜落の危険性が高い足場設置作業において、システム化された同製品を使うことで安全性を高めた。また、耐震補強工事と塗装塗替えにともなう拡散防止の養生が必要で、歩きやすく快適な作業空間を確保する必要があった。そのため開口部を設けず、全面的にフラットな作業場を整備した」と話す。
 中国道の山崎IC~佐用IC間に位置する千種川橋は、橋長198m(上り線)・179m(下り線)の鋼2径間連続トラス橋(側径間は山崎IC側・鋼鈑桁橋、佐用IC側・RCラーメン橋)。供用開始から45年以上が経過し、床版の疲労や凍結防止剤に起因する塩害によって劣化が発生しているため、抜本的な対策として上下線の床版取替工事を実施することにしたもの。
 工事では、既設RC床版をオリエンタル白石の独自技術である「SLJスラブ工法」を用いて取替える。プレキャストPC床版の接手部にエンドバンド鉄筋を用いることで、従来のループ継手と比較して間詰部を短く、かつ薄くすることができるため、床版全体の厚さと重量を抑制できる。また、プレキャストPC床版および場所打ちのコンクリートには、早強セメントを高炉スラグ微粉末で50%置換したものを採用して、凍結防止剤散布による塩害への耐久性を高めている。
 上り線の床版取替工事は昨秋に完了し、下り線は今秋(9~11月)に施工する。



上り線は床版取替工事が完了し、耐震補強工事が行われている

(2020年7月31日掲載 實末和也・<一部追記>大柴功治)

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