道路構造物ジャーナルNET

2020年度内の供用目指す

NEXCO東日本 常磐道(山元IC~岩沼IC間)4車線化 橋梁上部工が終盤迎える

公開日:2020.03.01

荒浜橋 多軸式特殊移動台車を用いてA1側から引き出し架設
 400mmの不陸にも対応するキャリアを運用

 荒浜橋は、県道塩釜亘理線を跨ぐ箇所に建設する橋長60m、幅員約11m、鋼重205.1tの鋼単純合成2主細幅箱桁橋だ。町道と県道が複雑な形で交差する付近に建設するため、架設には多軸式特殊移動台車(以降「キャリア」。前後2班編成、1班に付き6軸×4輪の(1台当たりの載荷能力250t)移動台車2台で編成)を用いた。A1側の盛土上に軌道設備を組み、キャリアで引き出す(引き出し長は47m)架設方法を取った。現場に架設ベントを立てられないための苦肉の策だ。合成床版(TRC床版)をあらかじめセットした桁架設時は、県道を止め1夜間で施工した。移動台車による安全な施工のため、走行部の舗装の平坦性には気を付ける必要があった。


架設計画図①

軌条桁上の地組/引き出し用のジャッキ

 施工したのは昨年の12月17日。夜間に引き出す桁の規模は57.8mで桁そのものの重量は170tだが、(仮補剛材などの)治具などを入れると架設物の合計は317.6tに達した。架設する桁は、事前に120t吊トラッククレーンで事前に軌条桁上に地組しておいた。また、前方キャリアは事前に夜間通行止め規制を行い、引き出し始点となるA1付近に配置した。そして当日の昼間に軌条桁上に配置していた前、後方台車により、ジャッキを用いて17.5mほど引き出し、前方台車からキャリアに桁を受け替えた。


桁を引き出し、前方キャリアに受けかえる

多軸台車重量表/キャリアの平面配置図

 桁の受け替えは、キャリア上に縦に2台重ねているユニットジャッキを用いた。ユニットジャッキ1台当たりの最小高さである1.3mに加えて、当日は下のキャリアの受台位置の高さ(1.4m)と合わせ、5.5mまで下げた状態から9.2mほどまでジャッキアップし、荷重を受けかえた後、軌条桁上の前方台車の荷重を解放した。その後、夜間に31.3mほど引き出した後で、もう一台のキャリアが後方台車と前方キャリアとの間に入った。その際もユニットジャッキ1台当たり1.3m、全高5.5m程度まで下げた状態で、待機ヤードから桁下に潜り込み、前方のキャリアと同様に桁を受け替えて、後方台車の荷重を開放し、A2まで引き出した。引き出し中の傾きは1.5%でレベリングを回復するストローク管理を施すと共に、反力の偏りに配慮して、受点の桁補強にて耐力を2倍にすることで桁の座屈を防ぐ手立てを施した。


夜間のキャリアによる引き出し架設

後方キャリアが入りさらに進んでいく

台車設備計画図/多軸式移動台車積載図

 その後、桁位置を微調整して橋台の沓座上にジャッキダウン(前方3,665mm、後方3,987mm)し、支承をセットした上で頂部サンドルを解体し、キャリアを退避させた。
 キャリアでの施工を行うにあたり最も配慮したのは、路面に400mmもの不陸があったことだ。これについては進入側について1週間前にオーバーレイを施して平坦性を確保するとともに、退避側の不陸についてはキャリアのストローク能力±300mmで対応することにより安全に施工した。


桁位置を微調整して橋台の沓座上にジャッキダウンし、キャリアを退出させた

桁架設が完了している荒浜橋

 同橋は既に床版コンクリートの打設を完了し、壁高欄の施工を進めている。
 設計はオリエンタルコンサルタンツ、受注者は横河NSエンジニアリング。1次下請はミック(架設工)、三美興行(とび)など。

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