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4班8ノズル体制で1日当たり平均250㎡施工

名古屋国道 平田高架橋で循環式エコクリーンブラスト工法を用いて既存塗膜を除去

作業員の健康安全面や廃棄物処分費の縮減を期待

 国土交通省中部地方整備局名古屋国道事務所は、国道302号平田高架橋(下り線)の塗装塗替えを進めている。同橋は1995年に供用された橋長141m、幅員17.2mの鋼3径間連続非合成(6主)鈑桁橋+単純非合成鈑桁橋で、塗装塗替えは今回が初めて。全面約6,200㎡を塗り替える。旧塗膜は下塗りが鉛系錆止めペイント、中塗り・上塗が長油性フタル酸樹脂塗料であり、クロムや鉛が含まれていることを確認している。そのため、作業員の健康安全面や廃棄物処分費の縮減を期待して、今回は循環式エコクリーンブラスト工法(NETI:CB-100047-VE)を用いて既存塗膜を除去している。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


(名古屋国道事務所提供資料より抜粋)


中部地方整備局で同工法は95件、455,246㎡の実績

 平田高架橋は、国道302号の新川を右岸側に渡河してすぐの箇所にある高架橋。住宅や店舗などに近接する個所にあるが、橋梁の直下は国土交通省の管理であるため、施工という点では、やりやすい側面がある。今回、循環式エコクリーンブラスト工法を用いたのは、「研削材が再利用でき、産業廃棄物量を減らすことができ、かつ粉じんの発生が少なく、他でも広く使われている技術」(名古屋国道事務所)であるため。実際に、中部地方整備局管内で同工法は95件、455,246㎡の実績を有している((一社)日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会調べ。また、今回の素地調整レベルは1種であることから、「塗膜除去と素地調整を1回のブラスト工だけで行え、塗膜剥離剤のなどのように養生に時間をかけなくてよい」(元請の博正塗装)ことも採用の決め手となった。

循環式エコクリーンブラスト工法の施工(井手迫瑞樹撮影)

同工法完了後の素地面(井手迫瑞樹撮影)

 本高架橋の施工は4班8ノズル体制で行っており、1班(2ノズル)ごとの1日当たり施工面積は約60㎡、全体で1日当たり平均250㎡を施工できる。施工の際の粉じんは右の写真のように少なく、素地の状態を確認しながら施工することが可能だ。廃棄物の量も従来のブラストであれば40㎏/㎡出るが、循環式エコクリーンブラストでは約1㎏/㎡まで抑制できるため、廃棄物処理費用の大幅な削減が可能だ。施工後は通常のブラスト同様にただちに塗替え工程に移行することができる。塗替えは下記フローチャート(名古屋国道事務所提供資料より抜粋)のように下塗り3層及び中・上塗の5層で行う。



下塗1~3層目の完了状況(施工前~下塗りまで全て名古屋国道事務所提供)

中塗りおよび上塗り施工状況(名古屋国道事務所提供)

 環境・安全面も大きく配慮している。ブラスト機器は足場内に置かず全て下に置き、電源を足場内に設けていない。環境対策は、板張り防護とシート張り防護は勿論の事、ブラスト養生設備には、難燃性エコクリーンブラストシート(NETIS:CB-190009-A)を使用し粉じん漏洩対策を行っている。また、安全衛生対策として空気循環設備を稼働させた上で、エコクリーンクールスーツ(NETIS:CB-190009-A)などの保護具を着用し、鉛等の有害物質を吸引しないようにしている。また退出の際はクリーンルームを設けて外部に有害物質を漏出させないよう万全の対策を施している。

 火災などが万が一起きた際にでもすぐに脱出できるように、明かり取り用のプラスチック窓を蹴破り、簡易ロープを垂らして逃げられるような機構を設けている。


 同現場でも一次下請として携わっているヤマダインフラテクノス(循環式エコクリーンブラスト工法の普及を推進している)の山田博文社長は「より粉じん量を減らすためにブラスト前の処理として粉じんを軽減するための剥離剤の施工も積極的に取り入れていきたい。そうすることで集塵装置のフィルターや作業者の防塵マスクの交換頻度を抑制し、安全に留意しつつさらにコストを下げることが可能になる。また、有事に脱出しやすいように、左右に1m程度の張出し足場を設けて、頭上の構造物を気にかけることなく動けるようにしたい。現場の民地との離隔など難しい面もあるが、積極的に提案していきたい」と述べている。

 現在は塗膜除去・素地調整はすべて完了しており、塗替えを進めている。3月中には工事を完了する見込みだ。(2020年2月19日掲載)