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吊足場と防護工を一括吊上げ施工

日綜産業 新防護工システム「クイックパネライト」が新設橋工事で初採用

 日綜産業が昨年秋に発表した内部脱着式採光防音防護工システム「クイックパネライト」が、「湯浅御坊道路 日高川橋他3橋(鋼上部工)工事」の御坊IC付近に位置する野口高架橋で初めて本格採用された。
 同システムは、先行床施工式フロア型システム吊足場「クイックデッキ」専用のもので、クイックデッキ側面に設置する。パネルをはめ込む簡便な施工方法なので熟練工を必要としないこと、透光率45%のパネルであるために足場内の明るさが確保できること、軽量であることなどが特徴となっている。
 同工事を施工している横河ブリッジ・横河NSエンジニアリングJVの現場代理人・牟田圭造氏は「1日のトレーニングで問題なく組み立てることができ、作業も早かった。採光性や防音性にも優れていて安全に施工できる」と語るとともに、外観について「とてもきれいで、都市高速などの遮音・防護壁と同じような完成形の橋に見える」と評価した。NEXCO西日本でも同様の評価をしているという。


足場内の明るさは想像以上だった。板張ボードや防音パネルでは真っ暗になってしまう


パネルにはルーバー式開閉機能があり、通気や換気も可能だ

現場に着いて最初に驚いたことは、見栄えがいいことだ。足場内も見えている。


 現場では、1枚あたり高さ900mm×幅2500mm、重量14kgのポリカーボネート製タイプのものを縦に6パネル組み上げて高さ約6mとして、御坊IC料金所近接の1径間片側部分以外の全径間に930枚設置した。面積は1,900m2に達している(クイックデッキの面積は2,500m2)。御坊IC料金所近接部分については、張出床版を施工するため防護工を斜めに設置する必要があり、アルミデッキを縦に使用するクイックデッキウォールを採用した。


パネル6枚を組み上げている


上段の足場/御坊IC料金所近接部分はクイックデッキウォールを採用


 同工事は、NEXCO西日本が進める湯浅御坊道路(延長19.4km)4車線化事業で川辺IC~御坊IC間に位置する橋梁のうち4橋(小熊高架橋・日高川橋・野口高架橋・小熊跨高速道路橋)の鋼上部工の製作・架設を行うもの。野口高架橋は、橋長198mの鋼4径間連続合成少数鈑桁橋だ。
 NEXCO西日本の同工事入札公告には、野口高架橋の吊足場に関して「飛躍的に安全性の高い吊足場工法の構造及び組立て・解体作業に関する技術提案」が盛り込まれていた。クイックデッキはつねに床を先行して設置するため安全性の高い吊足場だが、日綜産業はさらに高所作業を減らし安全に施工するために、吊足場と防護工を地組し一括で吊上げて架設する工法を同JVに提案し、受注を決めた。従来のパネル足場では剛性が足りなくて吊上げ点数を数十点にしなければ吊上げが難しかったが、クイックデッキは梁の剛性が高いため、8点の吊上げ点数で可能だったからだ。
 吊上げ荷重を考慮して防護工は軽量であることが求められた。そこで、1パネル14kgのクイックパネライトを採用することにし、新設橋建設では初となる吊足場と防護工の一括吊上げ架設が実現した。「軽量であることは非常に大きなメリット。高さ約6mの防護工となると下部の補強が大変になるが、それも必要なかった」(同JV・牟田圭造氏)。


吊チェーンが少なく、非常にすっきりしているクイックデッキ内部


(左)一括吊上げで架設された吊足場と防護工

(右)横河ブリッジ・横河NSエンジニアリングJV 現場代理人・牟田圭造氏


 クイックパネライトとクイックデッキの設置作業は昨年11月から開始して、2カ月で完了している。地上でクイックデッキに高所作業車でクイックパネライトを取り付け、ウィンチで設置位置に吊上げた。一括吊上げでの最大面積は、橋軸方向10m×橋軸直角方向15mとなった。最も施工管理が求められたのは、県道上の施工だった。1夜間の通行止め中に県道上で地組を行い、一括吊上げを完了しなければならなかったが、パネルをはめ込むことで組み立てができるため、作業は問題なく完了したという。
 一括吊上げ部以外の間詰部は、従来の架設方法で施工した。クイックデッキは床を先行して張り出しながら組み立てを行い、クイックパネライトは足場内部から取付けた。パネルの取付けでは、パネル6枚分約6mという高さが課題となった。日綜産業では4mまでは想定していたが、約6mになると取付け用足場が必要になる。その足場の開発ができていなかったのだ。そこで、現場の作業員と相談しながら、作業足場を開発して検証をしながら施工を進めていった。
 従来の板張ボードや防音パネルと同等の強度を持ち、内部から脱着ができる安全性に加え、採光性と防音性を実現した「クイックパネライト」。日綜産業では、橋梁等の公共工事で市場拡大を図っていきたいとしている。
(2020年2月10日掲載 大柴功治)