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身延町奈良田地区 仮桟橋はLIBRA工法を採用

山梨県 台風19号による被災から県道南アルプス線を仮復旧

公開日:2020.02.05

実施工日数はわずか16日
 延長40m、幅員6mの桁を設置

 仮桟橋設置工事は、10月26日から始まった。まずは準備工で工事に支障となる電線類やコンクリート壁を撤去した後、ついで11月5日から仮桟橋の設置工事に入った。仮桟橋は延長40.0m、幅員6.0mで、勾配は北側から南側へ4.3%の下り勾配であり、仮桟橋の橋脚兼支持杭となる鋼管は、十分、崖からクリアランスを取りつつ、既存の道路線形と高さを合わせ、なおかつ強風化岩層まで根入れできるよう、長さ10.0m~19.0mのφ457.2mm、厚み12.0mmのものを18本打設した。支持杭支間8.0mの上部桁パネルを1スパンとし5スパン施工した。中央径間には補強のためブレース材を配置する構造とした。実際の施工日数は見込みよりさらに短く、11月5~23日で実施工日数は16日という短期間での施工であり、機材の搬入・組立・分解、安全設備取付を加味し、1スパン2~3日で施工した。


杭の打設状況(井手迫瑞樹撮影)

杭の根入れ状況/受梁

杭長が長いため、溶接で継ぎ足している/上から見た施工状況(井手迫瑞樹撮影)

仮桟橋がほぼ完了した状況/11月末に仮復旧した

施工中の安全および第三者被害防止対策を徹底

 施工はクローラクレーン(70t仕様)を用いるが、県道は2車線道路のため、非常に狭い施工ヤードでの作業となる。加えて電線も残存しており揚重作業においては支障となる。 そこで電線とブームの安全な離隔を確保するため、クレーン旋回箇所の固定・旋回時のブーム角度の固定を行なった。旋回可能位置の可視化のため、クローラシューの端部の移動限界を明示する枠を該当箇所の覆工面にマーキングし、クレーン運転士には玉掛合図者が作業の都度ブーム角度を確認し、旋回指示を行なった。また、仮歩道は生活道路として児童・学生の利用者が多く、施工箇所と非常に近接していた。そのため、「クレーン作業エリアの立入禁止に加え、施工エリアの立入禁止明示、一般者の作業エリア近接時は、作業員にお声掛け頂くか、クレーンに備え付けた呼び出しチャイムのボタンを押して頂く様、掲示し」(施工した横山基礎工事)、第三者災害もなく完了することができた。仮桟橋施工後、北側には15mの擦り付けを行い、ガードレール設置や舗装を舗設して、11月29日には仮橋を供用し、仮復旧を成し遂げた。

本復旧は『メタルロード工法』が最有力

 現在は、本復旧のための設計を進めている。本復旧に使う工法は、現在では「中山間部の急傾斜面の道路拡幅などで実績のある『メタルロード』工法を最有力案として考えている」(山梨県)。これは通常の橋梁形式や堰堤+ボックスカルバート+擁壁工に比べて工期を半分以下(約14カ月)に抑制できるためだ。鋼製桟道橋形式のため、大規模な掘削が発生しないことや、本体施工時に沢での作業がほとんどなく施工安全性に優れ、地山とは分離した構造であるため再度被災に対する安全性も高く、コストも比較的安いことが理由だ。
 施工はまず、仮復旧橋として使っている仮桟橋などを用いて、桟道橋を構築していく。その際、あまりに谷側にせり出させると橋長が長くなり大規模になって工期・コストの面でデメリットが生じるため、再被災が起こらない範囲で、できるだけ山側に追い込む線形とした。施工は、まず谷側に1車線分の1期施工分の杭打設、桁や床版の架設を行う。次いで、仮桟橋を撤去しつつ、現地の法面を切土・整形、補強するなどしながら、山側に2期施工分の桟橋を施工するやり方を検討している。
 設計企業はサンポー。応急復旧工事である仮桟道橋の元請企業は保坂建設。一次下請は横山基礎工事(仮桟橋設置工)など。
(2020年2月4日)

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