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市道上は移動多軸台車、渡河部は軌条桁を用いて架設

横浜市 さくらみらい橋(大岡川横断人道橋)の建設が進捗

公開日:2020.01.31

経路A(P1-P2間)では曲線桁送り出しのために軌条桁を架設

 大岡川渡河部の経路A(P1-P2間)の架設は送り出しによって行われた。P1-P2の支間長は68mで、P1側はJ4までクレーンでの架設が完了している。架設桁全長は48.5mで、手延べ機などを合わせると約93mに達し、送り出し重量は367tとなる。
 本架設で課題となったのは、架設桁がR=170mの曲線桁だったことだ。P2側からの送り出しとなるが、P2-P3間は直線桁で、そのまま直線で送り出すとP1側のJ4に到達しなかった。そのため、発注時の架設計画では、経路B(P2-P3間)上に架設桁を地組して直線方向に送り出し、河川内に構築したベントで横取りを行うというものだった。しかし、ベント構築のための杭打ちのクレーン台船を配置およびベント設置により、約1カ月にわたり河川内を占有する状況が生じ、航路を阻害することになるため、河川管理者や水域利用者との協議で、河川内ベントを設置せずに架設する方法を考えなければならなかった。そこで、P2-P3桁の横に軌条(工事)桁を架設して、P2-P3桁と軌条桁上にR=170mの軌条を確保して曲線桁の送り出しに対応することにした。
 軌条桁はP3横後方のヤードにベントを組み立て、120t吊オールテレーンクレーンを用いてベント上で桁連結後、経路B架設と同様に移動多軸台車で架設している。


軌条桁の連結と架設

架設後の軌条桁(大柴功治撮影)

R=170mで敷設された軌条設備(大柴功治撮影)

 軌条設備完成後、手延べ機・連結構を組立、連結して架設桁4ブロックを連結。約23mの送り出しを行って、残り5ブロックと後方手延べ機を連結した。曲線方向への送り出しに対応するために、手延べ機をジョイント部で角折れさせる工夫も行っている。また、曲線桁のために曲線の外側に桁が倒れようとする力がつねに働いているため、30tのカウンターウエイトを桁上に搭載して抵抗力を与えていた。カウンターウエイトは送り出しの進捗に合わせて位置を移動させている。


手延べ機・連結構を組立て、架設桁の地組を行った

角折れさせた手延べ機(大柴功治撮影)

 12月14日には、P2-P3間の下の市道を午前0時20分から通行止めにして、手延べ機をP1側のJ4まで到達させる架設が行われた。


経路A架設計画図(抜粋)と架設ステップ図(拡大してご覧ください)

送り出し当日昼間の状況(大柴功治撮影)

 P2の架台上に鉛直ジャッキと水平ジャッキの送り装置と盛替ジャッキを左右1基ずつ設置(受け手のP1側も同様)、桁後方にはスライドベースと水平ジャッキ(30t)、クランプジャッキからなる台車設備を設置して、2支点での送り出しを行った(P1側到達後は3支点となる)。


(左)P2架台上の送り装置と盛替ジャッキ/(右)台車設備(大柴功治撮影)

 最大1mを標準8分で送り出して盛替作業後に再び最大1mを送り出すことを繰り返した。13m送り出した後に1回目のカウンターウエイト移動を約30分かけて行い、さらに約8m送り出して午前3時過ぎにはP1側に手延べ機が到達した。その後、2回目のカウンターウエイト移動とP1側のジャッキアップを実施、6mの送り出しを行い、所定位置に到達させた。送り出し長は、当日の試験引きとあわせて33.4mだった。市道通行止めは午前4時55分に解除している。


送り出し開始時(大柴功治撮影)

最大1m送り出して盛替作業後、再び送り出しを繰り返した/手延べ機がJ9側に到達(大柴功治撮影)

2回目のカウンターウエイト移動。左写真の位置から右写真の位置へ4m移動させた(大柴功治撮影)

 その後、16日深夜に約17mを送り出して作業を完了させた。センターホールジャッキと鋼線の桁降下設備を構築後に、約5mの桁降下を行って、25日に閉合した。


約5mの桁降下を2回に分けて行った

12月25日に閉合

 現在は、桁架設が完了し、屋根・高欄の施工をしていて、2020年6月末に供用予定だ。

 設計は八千代エンジニヤリング、デザインや屋根の設計協力会社はイー・エー・ユー、KAP、kuaa。下部工事元請は土志田建設。上部工事元請はエム・エム ブリッジ。上部工事協力会社は、日本通運(架設・重機工)、宇徳(地組桁運搬工)、オックスジャッキ(ジャッキ工)、東京フラッグ(溶接工)など。
(2020年1月31日掲載 大柴功治)

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