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約32万㎡の床版防水工を約6ヶ月という短期間で完了

首都圏中央連絡自動車道 幸手舗装工事における高性能床版防水工の施工

公開日:2015.05.16

【共同執筆者】
NEXCO東日本 関東支社
さいたま工事事務所
舗装工事班 成田 健一 氏(写真左)

大成ロテック株式会社 北関東支社
首都圏中央連絡自動車道 幸手舗装工事 現場代理人
佐々木 正志 氏(写真中央)

ニチレキ株式会社  
技術研究所 次長
黄木 秀実 氏(写真右)

1.はじめに
 当該工事は、東北道と圏央道が接続する久喜白岡JCT(埼玉県)を起点にして、境古河IC(茨城県)を終点とする総延長約23.2㌔の新設舗装工事で、高架橋部の舗装面積が全体舗装面積の約84%を占めているため、高性能床版防水工が品質および工程上の重要な工種であった。
 本報文は、当該工事における高性能床版防水工への取り組み、施工に関して報告する。

2.高性能床版防水工法の選定および特徴
 高性能床版防水工には、NEXCO「構造物施工管理要領 平成25年7月」のグレードⅡに適合したニチレキ(株)の「HQハイブレンAU工法」を採用した。同工法は、アスファルトとウレタン樹脂の複合材料の防水材(HQハイブレンAU)とウレタン樹脂との付着性能に優れた舗装用接着材(HQコートAU)により、防水機能の確保はもちろんのこと、舗装との接着性にも優れ、現在まで、床版防水層とレべリング層の剥離による舗装の損傷事例は一件も発生しておらず、良好な供用性を維持している。 HQハイブレンAU工法の特徴を以下に示す。

■ NEXCOが規定している30年相当の負荷(東名・名神高速道路を想定した480万回のひび割れ開閉負荷)を与えた後も確かな防水性能を持続
■ 床版から端部の立ち上がり部までシームレスな構成であるため、確実な防水層を形成
■ 4工程のシンプルな層で、施工時間を大幅に短縮
■ アスファルト混合物と強固に接着し、舗装のズレやポットホールの発生を防止
■ ブリスタリング(膨れ)の発生を低減
 次にHQハイブレン工法の仕様を図-1に示す。

 
                              図-1 HQハイブレンAU工法の施工断面

 また、各材料の機能を以下に示す。
① 床版用接着材(HQプライマーAU)
床版と防水材を接着するエポキシ樹脂(塗布量の均一性を把握しやすくするため青に着色)。
② 防水材(HQハイブレンAU)
高い防水性を有するアスファルトウレタン系樹脂(主剤+硬化剤)
③ 舗装用接着材(HQコートAU)
防水材とアスファルト混合物を接着するポリマー改質アスファルト
④ 付着防止材(4号硅砂)
舗装用接着材が、合材ダンプトラックやアスファルトフィニッシャ等の施工機械のタイヤに付着することを防止する砂
⑤ 端部保護材(HQトップAU)
地覆部において防水材を紫外線から保護するためのポリウレタン系樹脂

3.施工体制・方法に関する検討・取り組み
 平成26年5月に当該工事の高性能床版防水工に、ニチレキ(株)のHQハイブレンAU工法を採用することが決定した。平成26年度末供用目標のもと、約32万平方㍍の床版防水工を約6ヶ月という短期間で完了させることが必要であったため、本施工に先がけて、施工能力の向上を目的として、施工体制・方法に関して検討し改善を行った。
[改善Ⅰ]
 従来の施工体制は、熟練者による入念な施工を基本としたもので、床版用接着材工~端部保護材工に至るまで、同一の施工班で行うことが一般的であった。しかし当該工事では、各施工工程毎に専任の施工班を編成して、施工能力の向上を図るとともに作業の熟練度を高める施工体制を採用した。
[改善Ⅱ]
 ニチレキ(株)で、以前から取り組んでいた大規模防水工事対応のための、施工の機械化や自動化による施工方法の改善を取り入れ、以下に示す施工の機械化・効率化を採用した。
①床版用接着材および防水材散布時の可動式養生カゴ
②床版用接着材の機械散布と人力塗布の併用
③防水材の自動散布システム
④舗装用接着材の機械施工
 なお、本施工に先がけて、専任の施工班および製作した施工機械を用いて、施工工程毎に、材料の準備、施工機械の操作、作業上の注意点などの習熟を目的とした試験施工を繰り返し行い、技術の習得を進めると共に、作業の工夫・改善に努めた。
 施工機械の詳細に関しては、本施工の各施工工程に示す。

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