HOME現場を巡る一覧名高速 楠線でWJによるはつり(コリジョンジェット)とグースアスファルト防水を試験施工

現場を巡る詳細

名高速 楠線でWJによるはつり(コリジョンジェット)とグースアスファルト防水を試験施工

 名古屋高速道路公社(以下、名高速)は、9月15、16日の2日間、IHIインフラ建設が受注して大規模修繕工事を進めている楠線P97-P103区間のうち、特に劣化が進んでいるP97-98径間の下り線車線部の一部19m2において、上面からのWJを用いたはつりおよびグースアスファルトによる床版防水などの試験施工を行った。今後、WJの騒音抑制、施工性、グースアスファルトの施工性、防水性能の耐久性などを検証していく方針だ。(井手迫瑞樹)


 同橋は鋼3径間連続箱桁橋の一部をなすRC床版で既存床版の厚さは200mmである。

 同施工箇所において、現在床版下面をアラミド繊維シートとアンダーデッキパネルにて補強する工事を進めているが、施工範囲内の床版下面に、一部漏水が発生している箇所が確認された。

 漏水が発生している箇所の舗装上面は噴泥などの舗装変状が発生しており、また変状箇所はリフレッシュ工事において大きな面積で断面修復している箇所と一致していたため、ある程度大きな面積で損傷が発生していることが予想された。(30㎡程度を予想)

床版上面損傷状況図

舗装上面の損傷状況

 そのため、漏水対策として床版上面補修を行うこととした。また撤去範囲が大きな面積であることならびに当該箇所が河川部で周辺に民家がない箇所であったことを考慮し,床版上面のはつりをWJによる施工とした。名高速では床版上面のはつりでWJを採用することは初めてであることから、今後の都市高速の床版上面補修においてWJ工法の採用が可能か施工効率や騒音レベル・排水処理などに着目して試験施工を行った。

WJによるはつりおよびはつり完了状況

 劣化したコンクリートを確実に除去するWJ装置の選定は、コリジョンジェットを採用している。同工法は2つのノズルから噴射されたウォータージェットを衝突させると、衝突後は水流が拡散し、破壊エネルギーは急速に減少する。この原理を応用し、衝突位置を調整することによって、はつり深さを制御することができる工法で、劣化部および鉄筋裏側のコンクリートを除去でき、鉄筋裏側での新しい部材との付着力も向上させることができるもの。実際の施工では、はつり深さ7cmを目安に、当初は水圧(200MPa)、後退距離(1パス/30㎜)で施工を開始し、撤去深さを確認しながら調整し、最終的には水圧(170Mpa)、後退距離(1パス/40㎜)で安定したはつり深さで施工することが出来た。施工時間は、交通量の少ない週末に昼夜連続片側通行規制を行い、舗装の打替(121㎡)および床版上面補修(19.1㎡)を行った。床版上面補修の施工範囲は既設舗装撤去後、点検ハンマーによる打音検査を実施し、施工範囲を確定した。また、全体の施工時間を短縮するため2台のWJ機械を用いて、4時間程度で全面積を施工した。
 WJの施工にあたっては、騒音をどれだけ抑制できるかという点も重要視された。今次の施工では、防音シートと防音パネルによる二重防音を行った結果、壁高欄部(離隔5m)で75~80dB、民地近傍と想定される離隔30mで73dBを確認した。またブレーカーのような金属による破砕ではないため、桁を伝って音が遠隔地に響くこともなかった。水処理については、施工しながらバキュームで吸い上げるとともに、桁下には養生足場を作り、水が下に落ちないように施工した。


プライマーおよび接着剤の塗布

断面修復材の打設状況

 断面修復は、界面にひび割れ補修用の「浸透性KSプライマー」、次いでエポキシ樹脂系接着剤「KSボンド」を塗布し、4時間程度で所定強度を発現する床版上面補修用超速硬コンクリート「リフレモルセットSF」で断面修復した。

 WJはつり箇所の防水対策として、鋼床版では一般的な防水工であるが、RC床版においては、NEXCOでの試験施工以外、例がなく、名高速でも初めての施工となるグースアスファルト舗装を実施した。試験施工に際しては、NEXCOで採用された材料を用いた。

WJによる既設防水材の撤去/ヒーター車による路面乾燥

 その施工にあたっては、既設舗装撤去後WJにより既設の複合床版防水を全て取り除き、骨材が表面に出るくらいの状態に処理した。次いで床版表面の水分量はブリスタリングを抑止するため、RC床版用分水計で3%以下になるまでヒーター車による路面乾燥を実施し、防水工に着手した。その結果、有害なブリスタリングは発生しなかった。グースアスファルト単独の施工時間は2.5時間程度で施工することができた。

プライマーの塗布およびグースアスファルト防水の舗設

表層の舗設/施工完了状況

 名高速では、今回の試験施工の結果や経過観察をもとに、採用の是非を検討していく方針だ。(2019年11月26日掲載)