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施工効率は約4倍に向上し、延べ施工人数は3~4分の1に縮減

首都高速 「循環式ブラスト工法」の現場見学会を開催

総コストも従来工法とほぼ同等まで抑制

 首都高速道路 東東京管理局 保全工事事務所は15日、首都高速道路湾岸線の辰巳JCT付近の塗り替え工事現場で、7月の鋼橋塗装設計施工要領の改訂で素地調整1種に採用した「循環式ブラスト工法」の現場見学会を開催した。開催の理由は、同局の補修工事を受注している会社で本工法に関する理解が不十分な技術者からの要望を受けたため。同社のインハウスエンジニアを含めた約30人が、塗膜片と分別して研削材を循環再利用する機構の仕組みや、必要となる後方設備、騒音対策などの説明を受け、その後足場内に入って施工状況を視察した。同現場では循環式ブラスト(1種ケレン)と動力工具を用いた2種ケレンにより塗膜を除去しているが、元請の旭リボートによると、「循環式ブラストは動力工具に比べ施工効率は約4倍に向上し、延べ施工人数は3~4分の1に縮減でき、産業廃棄物処理までの総コストもほぼ同等まで抑制できる」ということだ。この現場では全14,000m2の塗り替え面積のうち、2径間分約2,000m2に循環式ブラスト工法を採用する。「今後、他の工事でも本工法を積極的に採用し、安全性改善、作業員の負荷軽減、工期短縮を目指す」(首都高速道路 蔵治副所長)とのことだ。


現場で工法の説明を行う山田翔平氏

装置の説明も行った

 現場内ではブラストの打ち手、研削材の回収員、施工管理者とも高密度ポリエチレン繊維に特殊ポリマー処理を施した防護服(エコクリーンクールスーツ)で全身を覆い、エアラインホースにて清浄空気を供給して防護服内を陽圧に保つことで、作業時に発生する粉塵と人体が接触しないようにしている。したがって、塗膜に鉛やPCBといった有害物質が含まれていても作業員は安全な空間内で作業することができる。また、夏はスーツ内に冷気を送り込むことができるため、どんなに暑い日でも快適に作業することができる。


 記者も実際に防護服を着用し、施工状況を視察した。ブラストを開始するとすぐに美しい銀色の鋼材面が露出(写真)、動力工具を用いた素地調整と比較すると施工速度、作業の容易さ、品質の高さとも大きな有意差を感じた。


とても早く、高品質で安全な施工が可能だ

装置からブラストを打つ場所までかなり長くても適用可能だ

 最も多くの鋼道路橋を有する首都高速道路が本工法を正式採用したことに伴い、今後全国的に循環式ブラスト工法の採用の増加が予想されている。日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会に加盟している各社は拡大する需要に対応するため、「昨年度は約3億円、今年度は5億円程度を設備投資に費やす」「ブラスト技能者を確保するために、他業種との連携も深め打ち手を育成していく」(同協会・山田翔平氏)。一方で「これまで積み上げてきた本工法の高い信頼性を失うことがないよう、今まで以上に安全・品質・技能に対して意識を高くもち、教育・訓練・ブラスト技能者・インスペクターの制度を、協会を通じ整備していく。どの現場でも高い品質と安全性を維持する為に」(同)と話していた。(2019年10月18日掲載、文・写真:井手迫瑞樹)