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重防食対策でステンレスライニングとAl-Mg溶射を採用

首都高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事 プレキャスト化で工程短縮

 首都高速道路は9月24日、首都高リニューアルプロジェクトとして実施している高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)工事の現場を報道陣に公開した。前回の東京五輪前の1963年12月に供用された東品川桟橋(延長約1.3km)と鮫洲埋立部(延長約0.6km)は、1日7万台という重交通路線に加え、海面に近接していることから過酷な腐食環境にあり、老朽化が進展していたことから、長期的な安全性を確保するために2016年2月に延長約1.9kmの更新工事に着手し、2026年度の完成を目指している。



位置図(首都高速道路提供。以下、注釈なき場合は同)


東品川桟橋施工状況(大柴功治撮影)


施工中の更新Ⅰ期線


 東品川桟橋部(更新Ⅰ期線高架部)の桁架設は2018年7月にベント工法で開始して、2019年7月に完了。床版は工程短縮のためにプレキャストPC床版を採用し、1パネルあたり橋軸方向1,720mm×橋軸直角方向9,250mm×厚さ220mmの床版を2018年7月から架設を開始していった。架設は100t吊~550t吊オールテレーンクレーンで1日あたり10枚程度を行い、延長約1,260mに約690枚となった。現在は、プレキャストPC床版の架設が完了して、場所打ち床版の施工を行っている。



プレキャストPC床版の架設


 壁高欄も工程短縮のために、プレキャスト壁高欄であるEMC壁高欄を採用。EMC壁高欄は、ブロック同士をボルトで個別に連結する構造で、施工性に優れているほか、事故等でブロックが損傷した場合でもブロックごとの交換が可能なため、車線規制時間を短くできるという特徴がある。施工は、1ブロックあたり橋軸方向3,980m×高さ1,059mmのEMC壁高欄を25t吊ラフタークレーンで使用して設置。1日あたりの施工量では片側約48m(両側施工ならば、約24m×2)で、全体では延長2,180mに約640個となった。EMC壁高欄を採用することにより、場所打ち壁高欄と比較して、約1カ月の工程短縮を実現した。



EMC壁高欄の設置


設置されたEMC壁高欄(大柴功治撮影)


 床版架設と壁高欄設置完了後は、防水工として改質アスファルト塗膜系防水材の施工と舗装、付属物設置を行い、2020年夏の東京オリンピック・パラリンピック前までに暫定下り線として切り替える予定だ。

 更新工事のために2016年6月から長期通行止めとなっていた大井JCTの湾岸線東行きから羽田線上り行きは、工事の進捗により9月29日に通行止めが解除された。



2020年夏頃に更新Ⅰ基線を暫定下り線として供用


9月29日に通行止めが解除された大井JCT部(大柴功治撮影)


 海上部に建設された東品川桟橋では桁下と海水面が近接していることから、コンクリート床版や主桁、桟橋杭にコンクリートのはく落や鉄筋露出などの損傷が発生していた。首都高速道路では、可能な限り補修を実施してきたが、海水面に近接している箇所は1日のうちに2~3時間しか点検・補修ができずに維持管理が困難になっていた。




海水面に近接する東品川桟橋(上写真/大柴功治撮影)


東品川桟橋の損傷状況


 そのため、更新前は桁下クリアランスが0~5mだったが、更新後は5mから最大20mの高架構造として、塩分などの劣化因子の影響を最小限とするようにした。また、長期耐久性と工程短縮の観点から新設橋脚26基はすべて鋼製橋脚を採用している。



更新イメージ


 桁には中空構造の恒久足場を設置して、維持管理性を確保するとともに、外部からの劣化因子を遮断するようにしている。

 橋脚の重防食対策としては、飛沫・干潮帯となる橋脚基部には高耐久性ステンレスライニング工法を採用して、工場製作時に1.2mm厚のステンレス鋼(NSSC270)を表面に溶接した。そのほかの部分については、Al-Mg溶射を行った後に重防食塗装を施している。



恒久足場を設置(大柴功治撮影)


ステンレス鋼を橋脚基部の表面に溶接(大柴功治撮影)


 現在施工中の更新上り線を暫定下り線に切り替えた後は、更新下り線(更新Ⅱ期線)の工事を行い、2023年冬頃からは上下線とも更新線で供用し、迂回路の撤去工を進めていく予定だ。



2023年冬頃には上下線を更新線で供用


 元請は大林・清水・三井住友・東亜・青木あすなろ・川田・東骨・MMB・宮地JV。


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(2019年10月24日掲載 大柴功治)