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一般財団法人災害科学研究所とPCM工法協会が共同で

国道9号大垣橋でSPCM下面増厚補強後20年の経年調査

 一般財団法人災害科学研究所社会基盤維持管理研究会(会長=松井繁之大阪大学名誉教授)とPCM工法協会は4月2日、国道9号の大垣橋で、PAE(ポリアクリル酸エステル)系ポリマーセメントモルタル(SPCM)による下面増厚補強後20年の経年調査を行った。その結果補強後20年を経ても補強効果は落ちていないことが確認された。


                          国道9号大垣橋。「昭和36年3月架」

 国道9号大垣橋は、兵庫県朝来市山東町の大垣の与布土川渡河部に位置する橋長47.2㍍、、幅員8.1㍍の鋼単純合成鈑桁橋+PC桁橋。昭和31年鋼道路橋設計示方書によって設計された昭和36年3月供用の橋梁。平日24時間交通量は18,000台弱だが、大型車混入率は30%を超える(即ち5,400台に達する)。一方でRC床版は配置されている鉄筋量が少ないことから、2方向に活荷重による疲労と考えられるひび割れなどが生じていた(写真)。そのため平成6年にD6の主鉄筋およびD10の配力鉄筋を配筋した上で22㍉のPCMを下面にコテ塗りして増厚したもの。床版防水工は補強と同時に、平成7年に施工しており補強部の外見は20年を経ても補強材に全くひび割れなどは生じていない(写真)。


          20年を経てもひび割れは生じていない

 大垣橋の床版補強部経年調査は、補強後5年、10年目にもそれぞれ行い、ダンプトラックを用いた静的および走行荷重により、既設鉄筋応力度(橋軸および橋軸直角方向)、補強鉄筋応力度(同)、ひび割れ変位、床版たわみなどを測定し、補強直後とそれほど変わらない測定値を計測、補強効果の持続を確認している。

 補強時の詳しい施工手順およびPCMの物性はそれぞれ下表のとおり。


                 SPCM吹付けによる下面増厚補強の手順


                               各材料の物性など


             今次の測定詳細 

 今回実施する試験も前2回に準じたもので、約20㌧のダンプトラックを1台施工させる簡易動的載荷試験により、試験車走行時の床版たわみ、主桁応力、主桁たわみ、ひび割れ閉塞などの動的応力波形を採取し、過去のデータと比較することで補強効果を確認した。補強効果の確認は「大垣橋は合成桁橋であり、床版に実施した補強効果によって主桁の全体剛性も向上する」(同会)と考えられることから、主桁についても補強効果の持続性について確認を行っている。



  (写真上段:現場計測)、(写真下段:車両の走行は上り下り両方のほか、走行位置も微妙に変えて計測

 現場計測は、測定点数を24点(動的試験:24点、応力頻度測定8点)とし、測定対象をP1~P2間の床版および主桁にしぼり計測した。測定システムはひずみゲージなどを床版下面に設置し、デジタル動ひずみ測定器で測定する応力頻度測定器(HR908A、東京測器研究所製)を用いている。車両の走行は上り下り両方のほか、走行位置も微妙に変えて計測している。

 測定した結果、20年後を経ても各測定値に補強直後との大きな差異はなく補強効果が持続していることが確認できた(下グラフ)。次は10年後に計測する予定だ。 


                        補強効果の持続が確認された

 なおPCM工法協会は「PAE系ポリマーセメントモルタルを用いたコンクリート構造物の補修補強に関する設計・施工マニュアル(案)」の改訂を昨年(2014年)12月に行っている。(井手迫瑞樹)