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門型カルバート構築に向けて跨道橋の撤去と仮設土留め工を実施

NEXCO東日本 上信越道蓬平地区で地滑り対策工事が進捗

 東日本高速道路(NEXCO東日本)は、上信越自動車道の坂城IC~更埴JCT間に位置する蓬平地区の長大切土のり面区間で、本線を291mにわたりカルバート化して約18万m3の押え盛土を設置する抜本的な地滑り対策工事(施工延長538m)を高速道路リニューアルプロジェクトとして行っている。工期は2017年12月26日から2022年7月2日までの1,650日間におよび、跨道橋の撤去工、上下線車線シフトのための仮設土留め工、門型ラーメンカルバートの基礎工・躯体工、盛土工などを施工する大規模工事だ。今回は、対策の経緯と跨道橋撤去工、仮設土留め工を中心にレポートする。



位置図/工程表(NEXCO東日本提供。注釈なき場合は以下同)

蓬平地区の長大切土のり面(大柴功治撮影)


既設グラウンドアンカーの総数は約1,590本

 上信越道坂城IC~更埴JCT間は1996年11月に暫定2車線で供用したが、蓬平地区の切土のり面区間は完成4車線幅で施工された。8年後の2004年7月には完成4車線で供用されている。

 同地区の地質は薄く割れやすい性質をもつ頁岩(けつがん)および頁岩砂岩互層で、小河川が形成した沖積扇状地が互いに接合して千曲川へ向かって緩やかに傾斜した地滑り地形となっている。建設時の切土施工中に流れ盤の表層崩壊が発生したことから、上り線側に位置する第2~第6切土のり面に約1,400本(L=7~38m)のグラウンドアンカー工と、のり面両端に排土工と抑止杭の対策を実施した。

 供用後も継続的な動態観測によって変状の進行が確認され、1997年から2001年に最上段の第7切土のり面に約120本(L=15~54m)のグラウンドアンカーを追加するとともに、第7切土のり面頂上に2基の集水井(φ3,500mm、L=25m/21m)を設置した。

 2005年にはPCより線の破断・飛出しというグラウンドアンカーの損傷が確認されたために、2009年から2010年にかけて第6切土のり面に約70本(L=37~44m)の増し打ちを行った。現時点で確認されているアンカーの損傷は8本ということだ。



建設時と供用後の対策工(断面図と平面図)


PCより線の飛出し


 1997年から行っている孔内傾斜計や地下水位計、パイプひずみ計などを用いた動態観測では、第7切土のり面部の地中20m部分で年間平均零コンマ数mm程度の変位が見られるものの、安全性に問題はないと判断されている。ただ、グラウンドアンカーの経年劣化対策は必要となっていたが、切土のり面全体に約1,590本のグラウンドアンカーが「隙間なく設置されていて、これ以上の増し打ちはできない状態」(NEXCO東日本)だった。



のり面に設置されたグラウンドアンカー(大柴功治撮影)


 そこで、建設当時から地滑り対策を検討してきた有識者と専門技術者で構成される「上信越自動車道・長野自動車道のり面対策技術検討委員会」で、切土のり面の長期的な安全確保に向けた対策を数年間にわたり審議し抜本的な対策として、本線上に門型ラーメンカルバートを構築して押え盛土を設置することを決定した。



工事着手前(右上)と完成予想図


対策工計画図(断面図)


跨道橋撤去工の工程計画策定に苦心

 本工事は2018年6月末に着手された。延長538mにわたる施工区間には坂城町管理の跨道橋が2橋架かっている。延長291mのカルバート構築にあたり、そのうちの1橋・御所沢橋が支障となり、撤去する必要があるため、その準備工事から着手したのだ。

 本線中央分離帯の既設ガードレールを撤去し、仮設ガードレールを約500m設置するとともに、撤去のためのヤードの整地と走路整備を行った。ヤードは約5,000m2で、撤去橋から坂城IC方向約200mの上り線側に位置し、約1,600m3の盛土を実施。撤去橋は多軸移動台車での運搬となるため、盛土では地耐力確保のための転圧を確実に行っている。




 また、撤去工の工程計画策定に際しては、「本線を通行止めにした上での作業なので、規制時間内に確実に撤去を完了できるスケジュールを作成することと、トラブルがあった時の工事中止の判断や、最悪時を想定したタイムスケジュールの確定に苦労した」(元請のフジタ・エム・エム ブリッジJV)という。


橋長31m、重量約335tの橋梁を1夜間で撤去

 御所沢橋の撤去は、2018年9月6日の20時から翌6時まで坂城IC~更埴JCT間(約14km)を1夜間通行止めにして実施した。同橋は橋長約31m、幅員6mのPC単純中空床版橋で重量は約335tに達する。事前作業として、舗装切削と、桁端をラッシングしたうえでアンカーバー切断を行った。



桁端の固縛とアンカーバー切断


 通行止め後、中央分離帯仮設ガードレールを撤去し、21時ごろに、移動多軸台車がヤードから本線上に進入した。撤去にあたっては、「クレーンを用いての分割撤去も検討したが、規制時間が増加するため、1夜間の通行止めで完了する移動多軸台車を選択した」(NEXCO東日本)。ただ、ヤードが狭小で台車上桁受梁や移動多軸台車の組み立てには苦労したという。

 移動多軸台車は5軸の「スーパーキャリア」を前後2台、横2列の合計4台を連結し、台車上にはテーブルリフト4台(1台あたりの最大昇降能力250t)と受梁(H=900×300)を設置した。



ヤード内で組み立てが完了した移動多軸台車(左)/工事桁搭載図(右)


 撤去位置に到達後、約0.3mのジャッキアップを行って桁仮受けとラッシングをして、桁端のラッシングを撤去したうえで、さらに約1.5mのジャッキアップを行い、ヤードに向けて翌1時ごろに退出を開始した。仮設ガードレールを復旧後、通行止めは翌5時に解除している。



桁下への進入とジャッキアップ


ヤードへの移動(左写真:宇徳提供)


 ヤード内では門型の桁降下設備を用いて、撤去橋を地上に下ろして圧砕機とブレーカーを使用して破砕を行った。



桁降下設備