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コンクリートの仕上げが難しく、今後の課題に

東北地方整備局福島河川国道事務所 桑折高架橋(仮称)で高耐久RC床版の打設を開始

 国土交通省東北地方整備局福島河川国道事務所は、相馬福島道路(霊山~福島)の桑折高架橋(仮称)の床版コンクリート打設工を4月2日から開始した。同事務所ではコンクリート構造物の長寿命化を目指して、2015年度から産学官が連携した品質確保の取り組みを行っている。同橋はその取り組みに基づいて下部工と上部工を施工する橋梁だ。

 床版工では高耐久RC床版を打設していくが、施工前には模擬床版を用いた試験施工を3月1日同8日に2回実施した。そこで確認された改善点を反映して本施工に臨んでいる。5日には2回目の打設が行われ、その現場を取材した。


現場は縦断勾配4%、横断勾配が片勾配部3%の厳しい線形

 同橋は、相馬福島道路では最長となる橋長1,218mの鋼3+5+4+3+4径間連続箱桁橋で、東北新幹線と東北本線を跨いでいる。2日から施工が開始されたのはP8~P12間(東向田地区)で、延長280m、面積3,581m2を7回に分けて打設する(5月14日に打設完了予定)。

 現場の特徴は、縦断勾配4%、横断勾配が片勾配部3%という厳しい線形のなかで、高耐久RC床版を実現するために採用した高耐久仕様のコンクリートの正確かつ迅速な打設が求められたことだ。ここでの高耐久仕様のコンクリートとは、水結合材比45%程度、空気量の目標値5%として、高炉セメントB種を使用し、膨張材および高性能AE減水剤を添加したものである。



橋梁概要(国土交通省提供)


P8~P12 床版コンクリート打設計画図(国土交通省提供)

雨天などによる順延のため、打設完了予定は5月14日となった


 2回目となった5日は、P10~P11間の一部となる延長29m、面積371m2の打設を行った。打設量は100m3で、アジテータトラック8台を1台につき3サイクル(1号車のみ4サイクル)配車することで対応している。打設時間を短縮するためには、ブーム長36mのコンクリートポンプ車2台を配置して、打設班を2班、作業員26人体制にする対策を行った。試験施工では受入試験に時間を要したことから、打設時間の遅延を防止するために試験班も2班体制で臨んでいた。



コンクリートポンプ車2台を配置した(大柴功治撮影、以下同)


受入試験


仕上げ作業が難しくなることを予想して、左官工の作業員を増員

 9時15分に勾配の低い起点側から打設を開始。幅員12.79mの中央で2分割して、2班の打設班がそれぞれ勾配の高い終点側へと施工していった。



起点側から2班体制で施工した


 今回の施工で最も課題となった点は、コンクリートの仕上げがやりにくかったことだ。気温が6度前後だった2回目の試験施工(半五郎地区)でも仕上げにくいコンクリートで、気温が上昇する4月にはさらに仕上げ作業が難しくなることが予想されたため、左官工の作業員を増員していた。高さ調整をある程度行った後での仕上げバイブレーターにより低勾配方向へ流動するコンクリートのかき上げの際に、コンクリート表面に骨材が露出する状態であり、トロウェルと金ゴテでの3次仕上げで何とか仕上がる状況であった。5日の気温は9時30分に11度、打設が完了した13時頃には約20度まで上昇した。




終点側に向けて打設が進む。仕上げは試験施工時以上に苦労していた


(左2枚)トロウェルと金ゴテでの3次仕上げ

(右)地覆部では、N式突入試験が実施された


「高性能AE減水剤を使用したために単位水量が少なく、ペースト分が少ないことが、勾配のある状況で仕上げが難しくなっている原因と思う」(現場視察を行った横浜国立大学・細田暁教授)ということから、仕上げの難しさは気温の影響だけでなく、コンクリートのワーカビリティによる可能性も考えられた。元請の小野工業所は、3回目以降の打設について「左官工の仕上げスピードを上げていくしかない。増員も検討しながら、効率的な施工を考えていきたい」と話していた。


試験施工時に確認された改善点を反映して施工を行う

 模擬床版の試験施工後の検討会では、仕上げ用バイブレーターの規格や敷均しの方法、締固め時間について意見が出されていた。コンクリート品質を確保するための正確な打設を行うために、5日の施工では、それらの意見を反映した対応を行っている。

 仕上げ用バイブレーターは、φ50mmのものを試験施工で使用したが、φ50mmではパワーが大きすぎるので、振動によるコンクリートの流動が少なくなるφ40mmのものに変更している。



φ40mmのバイブレーターを使用


 敷均しは、試験施工ではエンジン式タンパーを使用したが、縦横断勾配がきつくコンクリートの流動が発生したことから、本施工では通常の敷均しレーキでかき上げ対策を実施して、勾配の付いた床版面の高さを確保した。



レーキでの敷均し


 締固め時間は、1回目の試験施工では8秒、6秒、5秒の3パターンで実施したが、締固めを十分に行うために8秒に統一している。締固め間隔は試験施工と同様に50cmピッチとして、ロープにつけた目安で管理していった。ただ、目安ロープが全幅員の長さで2班同時に締固めを行う形だったため、施工スピードの違いから1班が待機している状態も発生していた(3回目以降は、片側ごとにロープを分けて施工を実施している)。



締固めは2班同時で行われた


終点側から(左)と起点側から(右)。厳しい勾配がわかる


 打設は13時頃に完了した。養生は、28日間の湿潤養生を行う。

 現場視察を行った日本大学の子田康弘准教授は、コンクリートの仕上げに苦労したことについては「配合はすぐには変えられないが、今後施工する工区の課題として、現場負担の軽減のためにも、関係者で検討していきたい」としたうえで、今回の施工について「試験施工で得られた課題を施工者と一緒に見直して、高耐久RC床版として要求される施工を行っていることが確認できた」と評価した。

 元請は、小野工業所。

(2019年4月25日掲載 大柴功治)