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伊良部大橋などで培った塩害・ひび割れ対策を援用

沖縄県中部土木事務所 泡瀬人工島連絡橋下部工が終盤

公開日:2019.03.16

「沖縄県におけるFAの配合および施工指針(案)」を活用
 施工状況把握チェックシートや表層目視も試験的に実施

 FAの仕様は、「沖縄県におけるフライアッシュの配合および施工指針(案)」(2017年12月刊行)に基づき、FAを内割り20%、外割りで内割り配合と合わせて90~100kg/m3以内の量を混和した配合とした。これにより水和熱による温度上昇の抑制、ASRの抑制、耐海水性(塩害を含む)の耐久性向上が期待できる。内割りと外割りを合わせて100kg/m3以内としたのは、FA総量が100kg/m3を超えると粘性が強くなり、施工性が低下するためだ。
 また、山口県や東北地方整備局などが実施している施工状況把握チェックシートおよび表層目視評価も試験的に実施しており、「下部工を受注している各社が品質を競争することにより施工品質が飛躍的に向上している」(同)ということだ。現在は、下部工19基中14基を今年度末までに完了させる予定だ。


施工状況把握チェックシート

目視評価チェックシート

下部工の施工状況①

下部工の施工状況②

下部工の施工状況③

下部工の施工状況④ 養生をきちんと行った結果、表層品質は素晴らしい状況に

 来年度は残る下部工5基を完了させ、上部工の桁製作設備の構築と桁の一部の製作に着手する。再来年度から本格的に上部工に入っていく予定だ。
 さて、その上部工の特徴はH.W.Lからのクリアランスがさほどないことだ。元々干潟のため干潮時は海底面が見えるぐらいになるが、満潮時は3.2m程度まで海面が上がる。しかし橋脚高は最小で4.1mの個所もあり、桁下クリアランスは最小で1mを切る。桁は飛来塩分はおろか飛沫を受ける可能性もある。また、支承は台風時に波をかぶる可能性も大いに考えられる。
 塩害対策としては、エポキシ樹脂塗装鉄筋、エポキシ樹脂被覆PC鋼より線、ASR対策および砕砂100%のコンクリートのワーカビリティー改善を目的に、FAを外割で細骨材(砕砂)の3~5%程度に置き換えるなど伊良部大橋の塩害対策を踏襲している。伊良部大橋のように隅角部にCFCC(炭素繊維ケーブル)のひび割れ防止用メッシュを入れるかどうかは検討中だ。


エポキシ樹脂塗装鉄筋などを採用

 支承プレートについてはアルマグ溶射を採用する予定で場合によっては伊良部大橋中央径間部のように支承の上にトップコートを塗装する可能性もある。また、高欄・地覆鉄筋は、それぞれアルミ製およびステンレス鉄筋を採用する。中央のP12付近および箱桁の両端部にはアルミ製検査路を設置して詳細点検に備える。
 支承は、免震構造が採用不可な条件下にあったため、分散型ゴム支承(中空床版部が機能一体型、箱桁部が全方向分散型)を採用している。


支承は分散型ゴム支承を採用する予定

 塩害対策上最大の課題はフライアッシュコンクリートの製造である。中部土木管内ではまだ製造経験が少なく、8か所の生コン工場で作っているが、使っている骨材の違いにより、微妙に配合比率を変えなくてはいけないため、「品質確認には目を光らせた」(同)。さらに上部工ではPCであり、ひび割れは致命傷になるため、今まで以上に生コン出荷時の品質の確認には留意していく方針だ。

 2021年度末には2車線暫定供用、23年度内の4車線供用を目指す。
 設計は大日本コンサルタント・中央建設コンサルタントJV。現在施工中の下部工は沖縄工設(P1)、仲本工業(P10)、大寬組(P11)、喜屋武建設(P12)、金秀建設(P13)、小波津組・マルユウ土建JV(P14)、牧港建設(P17)。

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