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大型クレーンの手配に苦労するも約半年で被災した橋梁の撤去を完了

オホーツク総合振興局網走建設管理部 いわね大橋復旧工事の軌跡

公開日:2019.02.07

門型ベント2基を設置して桁を受ける
 工程に影響を与えた大型クレーンの手配

復旧工事②(ベント設置)
 沈下したP6-P7およびP7-P8間の桁の荷重を受けるためのベントをP7両側に2基設置するために、まず右岸側を土嚢で約2mのステージングをして施工ヤードを確保するとともに、大型クレーンに対応できるように車路に鉄板を敷く準備工を行った。


ステージングの状況(左:上流側/右:下流側)

 その後、200tクローラークレーンでのベントの杭打込み作業となったが、台風接近にともなう河川増水の影響もあり、工程的に2~3週間遅れての8月27日からの着手となった。「地元業者の利点を生かして下請け関係の手配はすぐにできて、杭打込みまでは工事を順調に進めることができたが、大型クレ-ンの手配が困難だったため、手配できる日から逆決めの工程で作業を進めていった」(元請の渡辺組)。
 クレーンの手配が大変だったのはベント架設時も同じで、当初は200tクローラークレーンでの架設を予定していたが、手配ができずに360tオールテレーンクレーンに変更している。
 杭打込みは400Hを全部で22本行った。そのうちの6本は流木止めで、2基のベントのそれぞれの上流側に3本ずつ設置した。P6側の河川内ベント(B1)、P8側のヤード内ベント(B2)は、上流側と下流側に各4本打込み、根入れはB1で約3.5m~4mとした。


杭打込み作業

 B1、B2ともに門型ベントで、仮橋で採用されているエムオーテックのスーパーガーダー(鈑桁)を使用した。支間長13.4mのガーダー架設にあたっては、下流側に近接する分離歩道橋が障害となり、相吊りでの架設ができなかった。そのため、片持ち(ガーダーの上流側となる端部に玉掛け)として、バランスをとるために21.7tのウエイトをガーダーに搭載して、桁の下に挿し込む形で架設した。


ベント設置図

B1ベントの架設

B1ベント(左)とB2ベント架設完了

 B1は3主桁、B2は2主桁で、反力は最大で約600KN、ジャッキアップ時には960KNに耐えられる設計としている。ジャッキは、100tジャッキをB1とB2で各4台設置した。
 10月12日と13日にジャッキアップを行い、沈下した桁(2径間)のベントへの受換えを完了した。それにともない、分離歩道橋は15日から終日通行可能となった。


下流側の分離歩道橋から(3枚とも*)

桁のジャッキアップ

B1ベントジャッキアップ・仮支点/P7-P8間の桁ジャッキアップ完了

復旧工事③(撤去工)
 10月中旬からはP7橋脚の下部工撤去と、P6-P7とP7-P8の2径間の高欄撤去を並行して行った。下部工は大型ブレーカーで上部から破砕していき、躯体部分のみを撤去した。フーチングは橋脚構築の時に撤去となる。 次に、2径間分の舗装などの橋面部の撤去を行い、床版撤去を12月15日に完了した。


P7橋脚撤去工

舗装と床版の撤去

 12月17日からは桁の撤去作業を開始して、1径間(鋼重は約44.3t)ごとに切断をせずに、P7-P8間の桁、P6-P7間の桁の順に360tオールテレーンクレーンで吊上げて撤去をしていき、1月10日に撤去を終えた。


P7-P8間桁の撤去

P6-P7間桁の撤去

撤去完了(上流側から)

 今後は、P7橋脚を基礎から新しく構築し、撤去した桁を橋脚構築後に架設する。また、若干の変形が発生したP5-P6とP8-P9間の桁の補修もあわせて行う。

 元請は渡辺組、協力会社は釧路製作所など。
(2019年2月7日掲載 大柴功治)

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