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補強鋼板部の錆落としと、塗替え塗装をスムーズに行うための機械化工法

首都高速・サーフェステクノロジー 既設高欄防水塗装用途に「ミストJET工法」と「ST-swinger」を開発

 首都高速道路とサーフェステクノロジーは、首都高速道路の既設高欄の防水塗装について、補強鋼板部の錆落としと、塗替え塗装をスムーズに行うための機械化工法として、「ミストJET工法」および機械式吹付工法「ST-swinger」を開発、試行的に現場に適用した。1班当たりの施工速度は平均して1夜間150~200m程度と、施工条件にもよるが、従来の人力作業に比べ3~4倍程度の施工能力となる可能性がある。


ミストJET本体/施工状況

ミストJET施工状況2/施工された補強鋼板表面

 ミストJETは、WJ工法を応用し、高圧水(水圧100~245MPa、水量40ℓ/分)の噴出機構を調整してミスト状の水を補強鋼板上にぶつけることで、補強鋼板に生じた錆や既設塗膜を同時に除去する工法。ミストJETの噴出機構は、面的に上下およびスパイラルに動きながらミストを衝突させる系統(3ノズル)と、錆が生じやすい上下端に集中してミストを衝突させる系統(上下各1ノズル)の2系統からなる。両方ともに、ノズルの発射角などを工夫して、錆や塗膜に対して斜めから斫りとるようにミストが当てられるよう開発しており、これがスムーズかつ確実な除去につなげることを可能にしている。ケレン程度は圧力を変えることで調整可能となる。

 (高圧)水を使うが、水は霧状に展開され、かつ衝突エネルギーにより鋼板表面は60~90℃に高温化する。そのため使用した水は殆どが蒸発し、すぐに表面に防錆プライマーを塗布できる。また施工と同時にバキュームで吸引回収しながら施工するためバキューム以外の水養生も不要だ。

 施工後は追いかけで防錆プライマーを塗布、その後防水塗料の母材となる高伸張、速硬性のポリウレタンを「ST-Swinger」と名付けた自動吹付装置を用いて700μm程度の厚膜で吹き付けていく。機械のアーム先端にスプレーガンを装着し、それが上下に揺動することで材料が放射状に噴出し、塗装していく。塗装施工時にはミストJETと同様にバキュームでスプレーミストを吸引しながらフィルターを通して排気することで周囲への飛散を防いでいる。開発にあたっては噴出量や噴出速度とバキュームによるエアー量などを最適化し、膜厚が一定化する閾値を見つけ出し、実際の施工につなげている。

ST-Swinger本体写真/同機施工状況

吹き付け塗装仕上がり状況

 吹付後は追いかけで人力により上塗りが行われ、防水塗装を完成させる。

 施工に要する人員はミストJETが1班7人、ST-Swingerも同程度。ミストJET工法は、ミストJET本体と、高圧ポンプ車、バキューム車、給水車および前方のシステム運搬用セーフティーローダー(4tトラック相当)からなる。施工開始前から40m以上のバックヤードを必要とする。

ミストJET標準配置図


 防水塗装は、首都高速が初期に建設した橋梁の壁高欄を補強するためサンドイッチ状に鋼板補強した表面に浮き錆びが生じていることから、今次の東京五輪の開催なども鑑みて景観なども考慮し、主に夜間において順次表面の塗装を行っているもの。しかし補強鋼板に生じた錆の除去はグラインダーなどよる人力施工を行っており、作業が思うように捗らない原因となっていた。

 通常のコンクリート(斫りないし表面処理)用WJを適用した場合では、水の勢いが強すぎて母材損傷が懸念されたことと、水養生の手間も避けられなかった。しかし、今回のミストJET工法を採用することで懸念を払拭し、効率的な施工を実現することができた。またST-Swingerを導入することで、従来の手塗り工法に比べ時間当たりの施工延長を長くでき、かつ通常の吹付工法に比べ飛散の際の養生を劇的に減らすことを可能にした。

 2018年末現在の実績は、試行段階であるが、ミストJET工法が1,600㎡、ST-Swingerが3,200㎡となっている(コンクリート高欄表層含む)。今後の課題は外側の補強鋼板の施工。ミストJET工法は「ノズルの向きなどを安定して施工させるためにカウンターウエイトを大きくする必要がある」(サーフェステクノロジー)ため、重量は1.2tに達する。外面施工に際しては、足場内での施工となるため、ハンディタイプのバキュームの活用や高欄にそって移動できる装置を用いた機械を開発することを検討している。

 また、サーフェステクノロジーは、錆は生じていないが残存塗膜の付着力が弱くなっている場合、ミストJET施工後に施工した防水塗膜が剥離を引き起こす可能性があることから、剥離能力を上げて塗膜を全部剥ぎ落とし下地を出せるような塗膜除去能力の向上も模索している。首都高速道路では同JETをコンクリート表面被覆前の目粗しへの活用も検討している。(2019年1月29日掲載)