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交差道路の市道を活用して床版を搬出入

NEXCO東日本 道央道 勇払川橋で床版取替工事

 東日本高速道路(NEXCO東日本)は、道央自動車道の苫小牧西IC~苫小牧東IC間に架かる勇払川橋(下り線)で床版取替工事を実施した。同橋は1980年の供用から38年が経過し、既設RC床版にひび割れや鉄筋露出などの損傷が発生していることから、大規模更新事業として床版全面1,696㎡を取り替えた。床版の撤去・架設では同橋下の市道を活用して床版の搬出入を行い、安全対策の向上や施工効率化を図った同工事の詳細をレポートする。


過去に50mmの増厚とA1~P2間の補修工を実施

 床版下面にはく離や鉄筋露出などが発生

橋梁概要と既設床版の損傷状況

 勇払川橋(下り線)は橋長145.9m、有効幅員10mの鋼2径間連続非合成鈑桁橋(39.4m)+鋼4径間連続非合成鈑桁橋(106.5m)で、二級河川勇払川を渡河し、市道あけぼの町3条線と交差している。勾配は橋軸方向が0.3%、橋軸直角方向が2.12~2%。同橋が架橋されている苫小牧西IC~苫小牧東IC間下り線の2017年度平均交通量は5,798台/日で、大型車混入率は約14%となっている。



位置図/勇払川橋(施工前)(NEXCO東日本提供、以下注釈無きは同)


橋梁一般図


 既設RC床版は、建設時の厚さが240mmだったが、2002年に10mm切削して50mmの増厚(合計40mm)を行っている。増厚50mmは「設計要領」の最小厚50mmに従ったもので、20mmもしくは30mmの増厚では増厚コンクリートにひび割れが発生する懸念があるためだ。さらに、A1~P2間では2009年に増厚部補修とシート系での床版防水工を実施した。増厚と補修工事を行っているため、床版上面は中央分離帯側に一部劣化が見られたが、損傷はほとんど発生していなかった。下面でははく離や鉄筋露出、一部でエフロレッセンスが発生していた。



床版上面の状況


床版下面の損傷状況(右からはく離/鉄筋露出/エフロレッセンス)


 同橋を含む登別室蘭IC~新千歳空港IC間の凍結防止剤の散布量は平均18.5t/㎞・年(2017年度)で、床版表面付近の塩化物イオン量は平均0.81kg/m3、最大3.34kg/m3(P5付近中央分離帯側)だった。いずれも数値はそれほど高くないが、「(同橋周辺は)降雪量が少なく、散布した凍結防止剤が残留しやすい傾向にあると推察」(NEXCO東日本)されることから凍結防止剤の塩分浸透や、車両の大型化などによる輪荷重の繰り返しが、損傷原因と考えられた。


北海道胆振東部地震

 勇払川橋は9月6日午前3時7分に発生した北海道胆振東部地震の震源地から直線距離にして約35kmの位置にあり、同橋近くの苫小牧西ICでは震度5を観測した。現場では9月18日0時からの終日対面通行規制開始に向けて、車線切替工事を3日から行っていたが、夜間施工はしていなかったため、地震による影響は受けなかった。設置済みとなっていた足場についても地震発生後に点検を行い、問題がないことを確認している。なお、足場は既設床版の切断、削孔やはつり作業時の汚水処理およびはつりカスの飛散防止を考慮してパネル式吊足場(スパイダーパネル)を採用している。



車線切替工事期間中に北海道胆振東部地震が発生した


足場はパネル式吊足場を採用した(大柴功治撮影)


夜間に切断、昼間に撤去・架設

 市道に130tクレーンを設置して床版と資材を搬出入

既設床版撤去・新設床版架設

 既設床版の撤去、新設プレキャストPC床版の架設は9月19日から10月4日まで、夜間に既設床版を切断し、昼間に既設床版の吊り上げ、新設床版の架設という工程で施工した。撤去・架設はA2側(苫小牧東IC側)からA1側(苫小牧西IC側)に220tオールテレーンクレーンを後退させながら進めた。北海道電力の高圧送電線がA2近傍の土工部で交差していて、クレーン作業に制約があったためだ。



作業工程表


A2近傍の土工部で交差する高圧送電線


 撤去床版の搬出、新設床版の搬入は、施工期間中通行止めとした交差道路の市道(A1~P1)を活用している。計画では苫小牧西ICを経由した搬出入を予定していたが、床版仮置きヤードが交差部から市道で約200mと至近距離にあったことから、元請である日本高圧コンクリートの提案により、市道部に設置した130tクレーンを用いて市道から本線上への床版の搬入(および搬出)を行うことにした。



左奥が床版仮置きヤード(大柴功治撮影)


市道を活用して床版の搬出入を行った


 A1側床版6枚の撤去・架設は220tクレーンを本線から退出させた後に、市道上の130tクレーンを用いて実施している。

 市道の活用により、「床版を運搬するトレーラーが対面通行規制区間を走行するリスクをなくすことができた。また、橋面上に設置した60tクレーンを使用して効率よく資材の搬出入が行えた」(日本高圧コンクリート)。