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ロードジッパーシステム採用し、車線切り替えを迅速に 

NEXCO東日本 高瀬橋床版取替 交通に配慮して床版を3分割施工

 東日本高速道路は9月4日、長岡市の北陸道中之島見附IC~長岡JCTに架かる高瀬橋(上り線)床版取替工事を報道陣に公開した。同橋は1978年9月21日に供用された橋長111mの鋼3径間連続非合成6主鈑桁橋で、床版全面1,720㎡を新しいプレキャストPC床版(210mm厚)に取り替える。全幅15.4mの既設RC床版を横断方向に3分割して撤去・架設していることが特徴だ。これは長岡JCT付近に位置し、交通量も16,600台/日(上り線)と多く、1車線あたりの交通容量限界を超える時間帯もあるため。車線切り替えは施工性と渋滞の発生抑止を企図して移動式防護柵(ロードジッパーシステム)を採用した。現場での床版取替~舗装までの工期は8月20日~11月16日までの89日間の予定。その間、上り線3車線についてラッシュ時は2車線運用、通常時は1車線運用の昼夜連続車線規制を実施する。そのほか、塗り替え塗装3,780㎡もそれぞれ施工する。新潟県内で初めて供用された高速道路区間であり、供用後ほぼ40年を経過している。同工事の詳細をレポートする。(文・一部写真:井手迫瑞樹)


供用状況と既設床版の損傷状況

 同橋の工事実施予定期間における1日平均交通量は16,600台/日。大型車混入率は26%(約4,400台)と比較的多い。また、凍結防止剤の年間散布量も約3.8t/㎡と多く、疲労による影響と、凍結防止剤に含まれる塩化ナトリウムの影響により(鉄筋近傍値は最大で7.2kg/㎥に達した)、既設床版(210mm厚)が大きく損傷しており、今回大規模更新事業の一環として床版取替を実施することになった。平成20 年と25年に損傷した箇所の部分断面修復を行っているが、既設床版の劣化に伴い舗装表面にポットホールが頻発、床版の土砂化も進んでいた。


高瀬橋諸元及び位置図(東日本高速道路提供、以下注釈無きは同)

橋梁の損傷状況

標準断面図および平面図

床版撤去・取替

 さて、床版取替の施工は、70tラフタークレーンを2台用いて中央部から両端に向かって両側4パネルずつ撤去・架設する作業を繰り返していく(その前に高欄上の遮音壁および路面上の舗装は撤去しておく)。基本的にまず高欄・床版を切断、撤去し、さらに床版および壁高欄を配置し、継手部の間詰コンクリートを打設する。壁高欄は長さ方向に床版を2パネル(1パネル=1.67m(間詰部も入れると約2m))設置するごとに4m分のプレキャスト壁高欄を配置している。

床版撤去架設方法(側面図)

床版撤去・架設方法(断面図)

着工前/足場の設置/仮縦桁の設置

中分仮ガードレールの設置/中分の撤去/中分部仮舗装
 現場は民家が隣接しているため、昼間に既設高欄・床版の切断・撤去といった音の出る作業を行い、次いで夜間に新設床版を設置するという工程を繰り返す。特徴は交通への影響を与えないため、床版を3分割して施工したことだ(図参照)。


床版撤去・架設方法(平面図)

3分割による床版取替

遮音壁の撤去/既設床版の吊孔削孔

 1期目は長岡JCTから北陸道に行くランプ部で、8月20日~9月下旬までの間、昼夜連続規制して施工する。床版は全幅員が15.5mだが、1期施工がG1~G3主桁にまたがる部分(橋軸1.5~2.5m×橋軸直角3.3~7.2m)を撤去し、1枚当たり×橋軸1.67m×橋軸直角6.75m(重量は約6t)の新設パネルを55枚はめ込んでいく(以下2、3期も55枚ずつ)。

Ⅰ~Ⅲ期の車線運用イメージ

床版切断および床版撤去

床版の架設①(左写真:井手迫瑞樹撮影)

床版の架設②(井手迫瑞樹撮影)

 2期は9月下旬~10月中旬まで昼夜連続規制し、関越道方面への走行車線部(1.5~2.5×3.1m)を撤去、1枚当たり1.67×2.65m(約2.5t)の新設パネルを架設する。2期目の作業ヤードは中央部に位置する。そのため関越方面と北陸道方面に分岐する位置が通常の1km手前になり、通行する車両は注意が必要だ。
 3期は10月中旬~11月16日まで昼夜連続規制し、同追い越し車線部(1.5~2.5×5.2~5.4m)を撤去、1.67m×5.1m(約5t)を施工する予定だ。

 本橋は直橋であり、勾配もほとんどないため、P1、P2の桁の折れ点部分を台形にする他は、長方形パネルを使用している。両桁端部もプレキャストPCパネルである。

 床版は3期全体が終了し、橋軸方向の間詰を完了した後に1パネルあたり4本(中間支点部は5本)のプレグラウトPC鋼材を用いて全幅を緊張する。
 既設高欄はワイヤーソーで地覆ごと切断し、先行撤去する。さらに既設床版部はロードカッターで切断後、橋軸直角方向については1.5~2.5m間隔、橋軸方向については既設床版幅の広い1期のみ、毎4パネル中、手前の2パネルをクレーンの吊能力に応じ、さらに中央で2分割に切断する。

 切断後、油圧ジャッキを使用して、既設の床版に反力を取りジャッキアップした。3~10cm程度引き剥がした状態で、桁と床版を繋ぐスラブアンカー筋をガス切断した後、クレーンにて吊り上げ撤去していった。足場は交差道路への安全性を考慮してパネル吊式足場『SKパネル』を採用している。


 床版撤去・設置には、クレーンを設置するスペースを確保するため、2車線を作業ヤードとして使える時間帯内で施工する必要がある。そこで役に立つのが移動式防護柵(ロードジッパーシステム)を用いたスムーズな車線数変更だ。仮設防護柵として、1基あたり延長1,000×高さ810×幅460mm、重量680kgのコンクリート製防護柵を設置。それを施工ヤードに待機していた防護柵切替用車両(BTM:Barrier Transfer Machine)を用いて移動することで車線を切替えた。BTMは時速約5~10kmで走行し、公開した1期分のコンクリート製防護柵252mの設置位置切り替えを約3分で完了させた。同システムを用いる前は、「H型鋼を用いて車線切り替えを考慮していたが、クレーンを用いて時間をかけて施工せねばならず、ロードジッパーシステムを用いることで車線切り替え時間が大幅に短縮でき、切り替え時及び施工ヤード内の作業員の危険性も大幅に軽減できた」(NEXCO東日本)。また、コンクリート製防護柵を使用することで、規制内への突破事故を回避することができ、施工時の安全性向上も図られている。

ロードジッパーシステムの運用