HOME現場を巡る一覧阪神高速 北神戸線で新しい床版防水工を大規模施工

現場を巡る詳細

HI-SPECシール工法を約2万6000㎡

阪神高速 北神戸線で新しい床版防水工を大規模施工

 阪神高速道路は、高速7号北神戸線の永井谷高架橋(P12~P16、PC単純ポステンT桁×4連、104m)で、浸透性床版防水材「HI-SPECシール工法」による床版防水を行った。同工法は、同社が新しく採用した含浸系防水材と塗膜系防水層を組み合わせた複合床版防水工法の1つで、同社とアイゾールテクニカにより共同開発された工法。同工法はエポキシ樹脂系の「HI-SPECシールL」を床版下地に含浸塗布して、ひび割れを補修した後に、5mm以内を目安として、舗装切削などで生じた不陸をセメント系不陸修正材「HI-SPECシールL&P」で均し、アスファルト系塗膜防水層を施工するもので、従来のアスファルト塗膜系防水に比べて高い耐久性を期待している。同橋を含む北神戸線では来年4月末までに約26,000㎡を施工する予定。その詳細についてレポートする。(井手迫瑞樹)


 9月12日から施工している永井谷高架橋(P12~P16)の1径間当たりの長さは26m。供用年次は昭和60年8月で、施工は昭和58年に開始しており、設計示方書は昭和55年道示を用いている。RC床版厚は最小で200mm、交通量は片側10000台超(大型車混入率17%)となっている。供用を開始してから現在に至るまで床版防水は未設置であるが、床版上面は端部を除いて目立った損傷は生じていなかった。


施工現場概要図


 1車線規制での施工を行っており、1日当たり1車線ずつ約450~500㎡の施工を実施していく予定。施工は9時に規制を開始し、16時かけて舗装切削から床版防水、再舗装をかけ、16時間後の25時に規制を解除する。



切削した床版上面

 内訳は下表の通り。

工程表
 舗装撤去後の床版上面清掃は基本的にブロアー程度で済ませる。施工下地の表面含水率は10%以下とし、水分が多い場合はバーナーなどで乾燥させる。次いで、一次防水層として2液混合型エポキシ樹脂系含浸材「HI-SPECシールL」を混合攪拌してローラーなどで塗布する。塗布量は1㎡当たり0.25kgを目安とする。これによりひび割れを補修しつつ床版上面を一次防水する。(微細なひび割れ含浸幅は0.1mm程度を想定)

表面含水率の調査/ブロアーなどによる表面清掃

一次防水材(HI-SPECシールL)の混合および施工

同施工および施工完了状況

 塗布後の乾燥養生は30~60分ほど。その後、不陸修正材として「HI-SPECシールL&P」を塗布し、同様に30~60分養生した後、二次防水層として。ゴムアスファルト系塗膜防水を施工する。これら床版防水の施工に要した時間は養生を入れて5時間程度。
 施工に際して床版表面に浮きなどの損傷があれば断面修復などを別途行うが、ライナックスやショットブラストなどを用いた表面研掃は行わない。その代わりに切削時に生じた不陸に対しては、ひび割れ含浸材をローラーで塗布した後に、レイキを使ってセメント系の不陸修正材を広げるように塗布し、凹凸を均したうえでアスファルト塗膜系の防水層を施工する。不陸修正はMPDもしくは目視(メータースタッフ)で確認する。同社によると、「MPD(平均きめ深さ)値は修正前に1.99mmだったのが、1.33mmにまで改善(室内試験結果)」している。端部には路肩コンクリートおよび伸縮継手の立ち上がり部に幅250mm以上のメッシュシートを貼り付けて保護し、その後中央部と同様ゴムアスファルト防水を施工する。

不陸修正材「HI-SPECシールL&P」の製作および施工

不陸修正まで完了した状況

路肩コンクリートおよび伸縮継手の立ち上がり部に幅250mm以上のメッシュシートを貼り付けて保護

二次防水が施工完了した状況

 こうした不陸修正を行うなど従来のアスファルト系塗膜防水材より1工程増えているため、養生も含めると「床版防水にかかる時間は、従来型よりも3時間ぐらい増える」(大成ロテック)ため、「今回は規制時間を長めにとったため施工することができたが、通常の日々規制における規制時間内での施工を行うには、もう少し施工や養生時間を短縮する必要を感じる」(同社)としている。一方で全面規制できるリフレッシュ工事などでは使えるようだ。

 防水施工には1班10人と従来の倍程度の職人を投入していた。

 来年4月末までに同様の(1日当たり450~500㎡の)施工を60回程度施工していく。その過程で施工時間や養生時間の最適化も図っていく。

 元請は大成ロテック。(2018年9月28日掲載)


【関連記事】

阪神高速道路の維持管理報文連載
④大規模更新・修繕事業 技術開発(その1)  ―RC床版防水材料の評価と新材料開発の方向性―