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福岡高速1号線百道ランプ橋

溶射被膜を初めて塗り替え

 福岡北九州高速道路公社(以下、公社)は、福岡高速1号線百道ランプ橋の塗り替え工事を進めている。平成12年に塗り変えた4,200平方㍍の金属溶射が対象で溶射皮膜の塗り替え塗装をするのは国内初。

 同橋の架橋条件は、海岸線から100㍍も離れておらず「沖縄県の沿岸地域並みの高い飛来海塩」(同公社)がある。


               補修時の塗装仕様

 橋梁はOFFランプが2ボックス、ONランプが1ボックスタイプの鋼3径間連続箱桁橋(RC床版)。桁下のクリアランスは一番少ない個所で約1㍍程度しかなく、通常時は飛来海塩、波浪時には波飛沫をもろに受ける。


      百道ONランプ橋                       百道OFFランプ橋   

 現在の鋼道路橋防食便覧によると、こうした海岸からほぼ近傍の鋼橋への金属溶射の採用には注意が必要であるが、当時はそうした知見がなく、後に施工する福岡高速5号線の防食(全面的に金属溶射が採用された)の試験的な施工として金属溶射(亜鉛・アルミ擬合金溶射)およびトップコートにふっ素樹脂塗料が用いられた。しかし「塗装表面付着の塩化物イオン量は1平方㍍あたり1,000mg超(防食便覧における塗り替え時の上限値は同50mg)」が観測される過酷な環境下で、わずか10年程度で溶射皮膜が浮き、「亜鉛分が粒状化するなど溶射被膜に劣化が進んでいた」。


         溶射被膜が浮き、スクレーパー等で容易に剥ぐことができるほど損傷が進んでいる状態


亜鉛が粒状化。1,000mg前後の付着塩分量(塗装表面)が確認される個所も


 鋼板素地の錆は「亜鉛の犠牲防食作用」により軽度であったが放置すれば大きく進展する可能性があることからRc-1(研掃材はネオブラスト(フェロニッケルスラグ系)を使用したオープンブラスト(ブラスト機は厚地鉄工製)により塗り替えた。


         フェロニッケルスラグ系の研掃材を用いてブラスト


 クリアランスはH.W.Lから1㍍程度

 下フランジや添接部は増し塗り

 塗り替えに際しては、過酷な環境下にある橋梁で塩害による損傷が発生しやすいため、下フランジのエッジ部の面取りを行い、箱桁底面、下フランジ上面および下フランジから50㍉のウエブ面は120μmほど増し塗りしている。また、高力ボルト接合部も300μmほど増し塗りしている。塗装の仕様は下表のとおり。(塗料は関西ペイント)。


         桁下クリアランスは非常に少ない


       添設部や箱桁底面、下フランジ上面および下フランジから50㍉のウエブ面は120μmほど増し塗り

 また、塗装足場を活用してRC床版底面部も飛来塩分対策としてシラン系の表面含浸剤(プロテクトシルBHN)を塗布する。

 施工は㈱くちき福岡支店。

(取材・文:井手迫瑞樹)