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塗装塗り替え総計2万8610㎡ 支承取替366基

堺市 大浜高架橋のリニューアル工事が大詰め

公開日:2018.08.21

耐震補強
 同橋は昭和55年道示で設計されており、平成24年道示で照査した結果、橋脚の耐力不足、支承の能力不足が確認され、落橋防止装置も新たに設ける必要に迫られた。そのため鋼桁部は鋼製支承の取替(基本的に既存の鋼製支承をBP-B支承へ)を366支承で行う。コンクリート桁部については支承を取り替えず、支承補強装置(せん断ストッパー)で対応する。落橋防止はチェーンおよびPCケーブルを必要に応じて設置し、橋脚補強は基本的にコンクリート(以下、RC)巻き立てにより補強するが、P5~P6、P13~P22については鋼製橋脚を採用しており下部工の補強は難しいため、ダンパーおよび免震支承を設置して制震・免震的に対応している。


ダンパーの設置/緩衝チェーン

 現在施工しているP22~P25(長さ約100m)は、それぞれP22が門型鋼製橋脚、P23がRC矩形橋脚2基、P24がRC円柱橋脚2基、P25がRCT型橋脚1基という構造となっている。様々な耐震補強を組み合わせており、P22については支承取替(鋼製支承をBP-B支承へ)および横変位拘束装置(せん断ストッパー)、落橋防止装置(緩衝チェーン)を設置した。P23については、上り線D41鉄筋を2段配置、下り線D38鉄筋を2段配置、D51鉄筋を2段配置し、橋軸方向に500mm、橋軸直角方向に250mm、RC巻き立てで補強した。加えて、支承も巨大な固定支承(1橋脚あたり15t)に取替える。P24の下り線については、D25鉄筋を1段配置、全周を250mm、RC巻立てで補強した。P24の上り線については、D51鉄筋を2段配置、全周を300mm、SPCM工法で巻き立て補強した(支承取替は今年度発注予定)。P25はP22と同様の耐震補強および落橋防止装置を設置している。


補強中の各橋脚

施工(P23支承交換)
 難しいのはP23の支承取替と、P24のSPCM工法による施工だ。
 P23は、死荷重反力が11720kNと非常に大きく、矩形単柱の橋座ではジャッキアップ反力に耐えることができないため、ジャッキアップ用のベントを橋脚の両側に新たに設置した。ベント高さは6m。3~3.5m掘削してフーチングを露出させ、その上部に高強度コンクリートを用いて平滑化処理した上でベントを立てた。ベントの転倒防止対策として、支承取替前に実施したRC巻立てで埋め込んだホームコネクターを利用し橋脚とベント設備をハイテンボルトで連結した。


左の縦列から着工前、鉄筋探査、コア削孔、ベント架設

ベント防止対策用のホームコネクタ/既設支承(両写真とも井手迫瑞樹撮影)

 ジャッキアップは、オックスジャッキのコンパクトロックジャッキ(反力1台当たり300t)を8台用いて施工した。予想反力は800tであり、その3倍の耐力を有するジャッキを用いて安全に支承の取替を行った。ジャッキアップ後は既設アンカーボルトをガスなどで切断し、既設支承を撤去した。


支承取替補強材設置/ジャッキアップ/既設支承の撤去/既設支承の搬出

 既設支承の搬出および新設支承の据え付けは、土曜の夜間に隣接するCランプを通行止めにして施工した。ついで夜間には既設支承を25tラフタークレーンでつり上げてトラックに載せて搬出、新設支承をベースプレートおよびサイドブロックなどパーツごとにつり上げ、ベント上で組み立てた後、横引きして橋座への据え付けまでを施工した。最終的には昼間に調整して設置し、ジャッキダウンしている。支承取替には約1か月強を費やしている。支承取替は夜間作業時のピークにおいて6人体制で施工した。


新設支承の据付/アンカーボルトの現場溶接

アンカーボルト樹脂定着/台座コンクリートの打設/ジャッキダウン

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