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上部工の追加鋼桁重量は3560t 下部工も全面的に耐震補強

首都高速道路小松川JCT渡河部工事の軌跡

 首都高速道路は現在、小松川JCTの工事を進めている。

  2015年3月に開通した中央環状線の機能を十分に発揮させるために、現在接続されていない中央環状線と7号小松川線を連結する小松川JCTを設置する工事だ。特に中央環状線の埼玉方向と7号小松川線の京葉道路方向は交通需要が多いと予測されており、この方向を結ぶ連結路が設置されることにより、首都高速道路ネットワークがより強化されると見込む。小松川出入口において中央環状線(埼玉方面)との出入りが可能となるよう、入口を追加するとともに、現在の出口を7号小松川線の北側に付替える。また、これらの整備に伴い、7号小松川線の附属街路第3号線、第4号線を拡幅などして付替える。これらの措置を施すことで、中央環状線のジャンクションの機能が不足している箇所の連結路の追加等を行うものだ。そのうち河川部の拡幅工事を追った。(文、写真:井手迫瑞樹、資料:首都高速道路提供)


橋梁構造および下部工の補強・増設

 今回の拡幅工事は、中川右岸側のP78橋脚から左岸側のAP6およびBP6の間の高架橋両側を拡幅する工事だ。橋梁構造はA連結路(河岸側)が3径間連続鋼床版箱桁(ABR-1、191.718m)+4径間連続鋼床版ラーメン箱桁(ABR-2、227.945m)+単純鋼床版箱桁(ABR-3、47.562m)+単純鋼床版箱桁(ABR-4、38.9m)、B連結路が2径間連続鋼床版箱桁(BBR-1、84.738m)+3径間連続鋼床版箱桁(BBR-2、190.171m)+5径間連続鋼床版ラーメン箱桁(BBR-3、342.33m)である。


 そうした上部工の鋼桁重量は全体で3,650tに達する。当然これを受け止めるためには下部工を補強せねばならない。そのため①基部拡幅補強工(P76~P85)、②既設支承取替工(P76~P85)、③既設橋脚のラーメン化改築工(P82)、④河川水域内の橋脚新設工(AP3、BP3、AP4、BP4)を施工した。さらに既設桁にダンパーや落橋防止装置を設置する耐震補強(P76、P79、P82、P85)も施工している。


①基部拡幅補強

 平成24年道路橋示方書(道示)に対応した耐震補強として基部拡幅補強構造を設置する。既存の橋脚、単柱のいわゆるローソク橋脚には根巻コンクリートがあるが、リブを四方に入れて耐力を向上させた。これは「橋脚が倒れようとする際に脇に添え木を当てて倒れにくくするイメージ」(首都高速道路)。既設橋脚基部にリブを設置し、基部の拡幅量を大きくすることで、コンクリート支圧抵抗面積を増加させ、引張側の既設アンカーボルトを降伏以下に制御する。

基部橋脚補強の重量表と施工前後の概要図/基部橋脚補強の概要図

 既存の橋脚は小判型に鋼管杭を打ち込んだ締切状態でフーチングが構成されている。そのため、この外側に締切矢板を打たなければ、設計上基部の拡幅補強ができない。そのため締切としては既存の鋼管矢板の外側ぎりぎりを狙って矢板を打ちこんだ。河川管理者との協議の中で堤体に影響する範囲は最小限にするという打ち合わせがあったため、その範囲内で施工した。

 補強リブは既設橋脚内にも建設時に入っている補強リブに合わせた箇所に全部入れている。1面あたり8枚程度で、最終的に根巻コンクリートで固めた。

 既存橋脚本体の外側には外鞘管が設置されている。堀切小菅など他の個所でも見られる構造だ。これは中央環状線を往来する車両の振動と地震時の堤体と上載物の挙動が異なり、堤体を保護しているコンクリートを傷める可能性があるため、外鞘管を設けて緩衝させる機構だ。しかし基部拡幅の際のリブ設置の支障になるため、施工の際に一部撤去した。そしてリブ設置後、改めて新しい鞘管を設けている。

基部橋脚補強の施工ステップ図


②支承取替工

 P85~P75までの10支承線(架け違い部別カウント)のピボット支承(一部の可動支点上ではローラー支承もある)を基本的にはBP-B支承(可動支承上では滑り支承)に交換した。支承取替時の支承反力は約2,300tに達する。一番重いものは、P80であり、既存、取替支承ともに20t/1箇所となっている。「国内でもこれだけの反力を有する支承の取り換えはあまり例がない」(同)ため、取替計画、ジャッキアップ方法、支承の撤去および定位置への新しい支承の設置方法について慎重に検討した。(下表:支承設計反力、図:施工前後の概要図)

 具体的には、まず既存桁を内部補強した上で、そのウエブを利用して吊上げ(下げ)設備を設置する。次いで桁を左右で支えるA柱・B柱の両内側に約3tの部材を吊り上げてブラケットを設置する。その次に拡幅ブラケット間に、仮設梁を渡すための受台をつける(横に引き出すための桁をA柱B柱間にかけている)。(以下、下図及び写真を参照)

 このブラケットの上に700tジャッキを1支点あたり4基設けてジャッキアップ(ジャッキアップ量としては3mm)を行い、橋軸直角方向に引き出して、ガーター(仮設梁)の上を滑らせ、電動ウインチで既設支承を降ろしていく。ガーターの幅は、下沓の幅にぴったりなものにしており、それでA柱B柱間に引き出す。チェーンブロックで吊り上げて、下が完全に荷重がガーターから抜けたら、そのガーターを下沓をかわす幅まで外に開いて、電動チェーンブロックで降ろす。

 次いで新設支承を吊り上げる。その際は、ガーターよりも高い位置にもって行き、ガーターを内側に絞り込んで、新しい支承が載る位置までセットして、橋脚のほうに引っ張り込んだ。1基取り込むために、20tの電動チェーンブロックを4つと、5t級のチェーンブロックを各所に1基あたり10台以上仕込んで、引っ張り込んだ。

 各所で個別の仮設材を使っていたら経済性が悪くなる。そのため全ての支点条件やワークスペースの条件のデータを取り込み、架設梁1本でも転用の可否を検討し、仮設材が少なくなるよう経済性を考慮した。

 なお、ブラケットは今後の支承交換も考慮し最終の仕上げ塗装まで行って残置した。防食は桁と同じレベルを施している。