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広瀬川に架かるシンボリックな3径間連続RCアーチ

仙台市 「大橋」をアラミド繊維や鋼板貼り付けで耐震補強

公開日:2017.03.08

床版および地覆を防水 高欄目地部にはシール材
 排水設備も橋脚・橋台部に設置

補修
 橋面については既設舗装を剥がして舗装の打ち替えを行うとともに、床版防水工、歩道へのコンクリート改質剤の塗布、歩道部の舗装打ち替え、高欄、アーチ部側壁、アーチ基部の補修などをそれぞれ行った。
 床版防水工はアスファルトシート系を採用。歩道の防水には浸透性改質剤「RCガーデックス」を採用している。
 高欄の補修は断面修復やひび割れ注入を行うとともに、補修前に施していた保護塗装と同じ色(御影石調のライトグレー)の保護塗装(ポリウレタン塗装)を施し、コンクリートの劣化防止と景観の維持に努めた。
 アーチ部側壁についても高欄と同様の補修、保護塗装(色調はアイボリー)を行った。また、橋脚については断面修復工を行った上で鋼板巻立を施工している。アーチリブ、橋脚ともに補強した個所についても景観を統一させるため、同様の保護塗装を施している。なお鋼板貼り付け補強した個所は下地としてPCM(マグネライン工法)を施工した上で塗装をしている。
 また、損傷原因の一つとして排水設備の不備があることから、高欄が縁切りされている部分(バルコニー部の高欄と灯篭柱との隙間)にはシール材を設置する、歩道には前述のように浸透性改質剤を塗布すると同時に、新たに路面排水処理用の排水孔も橋脚部および橋台部に設け、水による損傷を抑制する手立てを施した。


浸透性改質材の塗布

防水工の施工

施工時の留意点
 施工に当たっては、歩行者や通行する車両に配慮した。同橋の付近には大学や公共施設も多いため、歩行者の交通も頻繁。自動車交通量も地下鉄東西線開通後、バス路線ではなくなったものの一般車両の通行量は多く、「午後11時ごろまで通行量が衰えない」(橋本店)状況にあり、吊足場の設置や補修材は最新の注意を払いながら桁上から搬入した。また、吊足場そのものも、アーチ形状に沿って、「ひな壇状に組む必要があり通常の橋に比べ非常に苦労した」(同)。その後の施工も断面修復工の施工、補強材の貼り付けとも上向きでの工事内容が多く、職人も非常に苦慮していた」(同)としている。
 加えて地下鉄(地上部)や周囲から眼に入りやすい箇所にあり、景観的にも特徴を有する橋であることから、「なるべく細部に気を配りながら日々施工を行い、仕上げにも気を使った」(同市)。また、広瀬川は鮎や鮭の遡上もあり、清流を守るため、板張り防護で養生しつつ施工した(足場はSKパネル)。


アーチ形状に沿って足場を構築/美しいアーチ橋だ

 設計は長大。元請は橋本店。平成27年11月から現場での施工に着手し、28年12月に工事を完了させた。橋本店は同橋の建設を行った会社でもあり、今回の工事でメンテナンスも手掛けたということになる。

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