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広瀬川に架かるシンボリックな3径間連続RCアーチ

仙台市 「大橋」をアラミド繊維や鋼板貼り付けで耐震補強

 仙台市は、昨年12月に青葉区大手町の広瀬川に架かる大橋の耐震補強を完了した。昭和13年10月に供用された橋長115.9m、幅員10.7mの3径間連続RCアーチ橋で、供用後初めての耐震補強。中性化や塩害、凍害による経年劣化も目立ち、対症療法としての補修は施していたが、この機会に大規模な補修も合わせて行っている。仙台城の大手門跡につながる同橋の補修補強工事を報告する。(井手迫瑞樹)


耐震性能はせん断耐力がNG

 アーチリブ端部には疲労による損傷も

損傷状況および耐震性能の不足状況

 仙台市では、平成8年度から緊急輸送道路に架かる橋梁のうち、昭和55年道路橋示方書より前の基準で作られたものの耐震補強を進め、また工事コスト縮減のため、併せて長寿命化修繕工事を実施してきており、今回の大橋もその1つである。

 補修前の損傷状況は地覆・高欄、橋脚、橋台付近など、コンクリートの劣化が全般的にみられる状態で舗装も劣化が進んでいた。損傷原因としては排水設備の不備(高欄の縁が切れている箇所から水が外部につたっている状況にあった)、中性化、凍結防止剤散布による塩害、凍害および凍結融解などが複合的に作用しているとみられる。また、凍結融解によるポップアウトは、一般に寒暖の差が激しい日の当たる南側で起こることが多いが、大橋では日陰になることの多い北側で起きている。

 床版防水についても今回の補修の過程で以前施工していたことは分かったが、設置していた時期は明らかではない。但し舗装撤去後の床版状態は「それほど悪くなかった」(仙台市)としている。

 耐震性能については、橋脚はP1、P2共にType1、2の橋軸、橋軸直角方向ともにせん断耐力がNG、アーチ部材も全てType1、2の橋軸、橋軸直角方向ともにせん断耐力がNGという判定結果が出た。またP1~P2、P2~A2の2径間のアーチ部材については鉄筋がType1でも橋軸方向の引張側で降伏、Type2では橋軸方向の圧縮側で座屈、引張側で破断という判定結果が出ていた。



アラミド繊維シート貼り付け前に100mmはつって断面修復

 アーチリブ中央部はせん断補強鉄筋を挿入

耐震補強

 解析の結果から耐震性能は主にせん断耐力が不足しており、部位的にはアーチリブと橋脚の耐震性能が不足するということが分かったため、橋脚は鋼板巻立て、アーチリブ端部はアラミド繊維シート貼り付けによる補強、アーチリブ中央部はD25鉄筋をせん断補強鉄筋として挿入し、モルタル充填して左官で仕上げて補強するという対策を行った。特にアーチリブ端部については、先述したように損傷が大きく「100mmほどの深さをはつった上でPCMによる断面修復を行った。断面修復層の中間部にはメッシュ金網を入れて品質を確保し、その上にアラミド繊維を貼り付けた」(橋本店)。


大橋の補修補強一般図


アラミドシートの施工


厚さ9mmの鉄板で定着させている

 具体的にはA1~P1間アーチリブがA1側アーチリブ端部に保証耐力40t/m(目付量235g/㎡)、P1側端部に同60t/m(同350g/㎡)のアラミド繊維シート(前田工繊製)を橋軸方向、橋軸直角に1層ずつ貼り付け、アーチリブ中央部は削孔してせん断補強鉄筋(D25、ポストヘッドバー)を一列10本程度挿入し、専用の無収縮モルタルを充填して補強した。

 以降P1~P2は両側アーチ端部を120t/m(目付量700g/㎡)のアラミド繊維シート、中央部は同様のせん断補強鉄筋を使用、P2~A2はP2側端部に60t/m、A2側端部に40t/mのアラミド繊維シート、中央部は同様のせん断補強鉄筋を使用という構造で補強を行っている。なお、アラミド繊維は厚さ9mmの鉄板により定着させている。


化粧塗装