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支承も交換 鋼部材防錆にはST-SGN12を採用

仙台市 茂庭大橋 鉛を含有する塗膜を塗膜剥離剤+ケレンで除去

 仙台市は、太白区の茂庭浄水場と名取川に挟まれた部分に架かる国道286号茂庭大橋の補修を進めている。同橋が供用されている区間は上り線2車線(茂庭浄水場側)が切土で、下り線2車線(名取川側)が橋梁という特殊な構造となっている。こうした構造は市内でも同橋だけであり、急峻な崖地に道路を通すため、こうした変則的な構造を採用したとのこと。今回は橋梁部の塗装塗替え、支承取替などを主とした補修工事について現場取材したレポートを報告する。(井手迫瑞樹)

 

茂庭大橋は上り線が切土で下り線が橋梁構造/下り線は名取川に面している


支承交換

 茂庭大橋は、平成5年10月に供用された橋長170m、全幅員11.5mの鋼鈑桁橋である(桁製作:三菱重工業(現エム・エム ブリッジ)。下部工は逆T式橋台、張出し式円形橋脚、基礎は橋台部に直接基礎、橋脚部に深礎杭を採用している。適用示方書は供用時がS55年だが、平成26年度から耐震対策を進めており、下部工は補強済み(AT-P工法によるPCM巻立て、およびRC巻立て)だ。現在は、橋台・橋脚上の支承交換と、全桁の塗り替えを行っている。


茂庭大橋補修補強一般図


 竣工時の支承は、橋台で鋼製可動支承を、橋脚で水平力分散支承を採用していた。耐震性能の照査を行った結果、支承及び橋脚の耐力不足が確認されたため、支承は単体でレベル2地震に抵抗できるものに交換 (橋台は可動ゴム支承、橋脚は水平力分散支承)し、支承交換後の橋梁全体系での耐震性能照査を踏まえたうえで、橋脚補強を行っている。河川上にあることや交通量が多く、冬季には凍結防止剤を散布していることから、塩害に対応するため支承の防食は高防錆表面処理(ST-SGN12)を採用している。

 支承交換は道路を供用させながらの施工となるが、支承の搬入に当たっては下り線を1車線規制する。また、現況の路面高を変えないため、交換する支承は沓高をかえず支承面積を拡大させることで対応している。そのため沓座ブロックを橋軸方向に900~1,000mm、橋軸直角方向に最大1,800mmそれぞれ拡幅し、その後、豆ジャッキを1支承部に付き2箇所設置してジャッキアップし、新しい支承に取り換える。支承取替工は4月から行う予定だ。


塗装 

 塗装は鋼桁全面6,290㎡を塗り替える。供用後初の塗り替えで1月から塗り替えに着手している。既設塗膜の種類は下塗りがシアナミド鉛錆止めペイント×2層およびフェノールMIO×1層、中塗、上塗りが長油性フタル酸樹脂塗料各1層ずつである。膜厚は一般部で平均250µm。旧塗膜には鉛の含有が確認されている。また河川にも面しており、作業時の安全性、環境への配慮および錆がそれほど生じていないことから、ブラスト工法ではなく、塗膜剥離剤による既設塗膜の除去を選択した。今回、塗膜剥離剤には「バイオハクリX-WB」を採用している。


バイオハクリX-WBを用いた塗膜除去

 ここで課題となるのは、下塗りに用いているフェノールMIO塗料の存在である。MIOとは雲母を含む酸化鉄塗料を指す。こうした鉱物の層を有するため、塗膜剥離剤の浸透を阻害する傾向がある。また、溶接リブ部では溶接熱によってエッチングプライマーが溶出し、鉛が鋼板面のアンカーパターンに食い込んでしまっている箇所もあった。全体的に施工時の膜厚も(平均は250µmであるが)一定していない。加えて冬季施工のため反応には時間がかかることが予想された。


溶接リブ部では溶接熱によってエッチングプライマーが溶出し、鉛が鋼板面のアンカーパターンに食い込んでしまっている箇所もあった

 そのため塗膜剥離剤は0.5kg/㎡を2~3回塗付し、1回当たり24~48時間程度養生した上で塗膜除去を行い、その後、作業安全対策を十分にした上で、ウエブ等平板面はサンダーケレン、端部はブリストルブラスターを使って2種ケレン相当の下地を仕上げ、Rc-Ⅱ相当の塗り替えを行う予定。


 補修設計は近代設計。元請はリバーランズエンジニアリング。一次下請は中島産業(塗装工事)、シー・アンド・シー(支承取替工事)など。