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三彩化工、山一化学工業、好川産業、JFEエンジニアリングとG-TOOL

「塗膜剥離剤+ブリストルブラスターW工法」を提案

 PCB(ポリ塩化ビフェニール)や鉛など有害な塗膜を有する鋼橋の塗り替えに際し、塗膜剥離剤メーカー4社(三彩化工山一化学工業好川産業JFEエンジニアリング)とG-TOOLは、両工法が補い合うことを目的とした「塗膜剥離剤+ブリストルブラスターW工法」を提案していく。また同工法の技術的な深化と周知を図るため、共同で水系塗膜剥離剤素地調整1種技術研究会を組織した。(井手迫瑞樹)


 厚生労働省と国土交通省から2014年5月30日に出された「鉛等有害物を含有する塗料の剥離や掻き落とし作業における労働者の健康被害防止について」文書(以降、単に文書)は、鉛などを含有する既設塗膜の塗り替えの際、原則として湿式雰囲気の中での塗膜除去を推奨する内容として、鋼橋をはじめとした全国の鋼構造物塗り替え現場に大きなインパクトを与え続けている。また、PCBを含有する既設塗膜は、2027年3月31日までに廃棄するようストックホルム条約で明記されている。既設塗膜を除去する際、文書が出る前は主に乾式のブラストで施工されていた。しかし、廃棄物量を大きく増加させ、廃棄物処理費を大幅にコストアップさせることや、外部環境および内部で作業に従事する労働者の健康に悪影響を与えることから、湿式環境下での施工がなされている。


水系塗膜剥離剤+ブリストルブラスターW


処理面素地調整1種


 塗膜剥離剤は湿潤環境下で塗膜を剥離でき、なおかつ廃棄物量を大幅に減らすことができる手法として広く採用されている。高級アルコール系を主材とした製品と水系を主材とした製品の大きく2種類に大別されるが、今回は水系を主材とした製品を有する4社が参加する。本工法では、まず、これらによりPCBや鉛を含有する既存塗膜を除去する。

 その後に残るのが表面の錆や建設時の黒皮、無機ジンクリッチといった塗膜剥離剤では除去できないあるいは除去しにくい層だ。これをG-TOOL社のブラスト面形成動力工具「ブリストルブラスターW」(以降、「W」)を用いて除去し、なおかつISO Sa2.5の素地調整1種程度の下地を形成する。「W」は同社の「ブリストルブラスター」を改良したもので、モーターを強力にするとともに、2つの(鋼材表面を研掃する)ブラシを巧みに配置することで、ブリストルブラスターと比較して処理能率を40~90%程度向上させている。また、より広い面積の素地調整も可能にしている。


塗膜剥離剤処理/剥離後の残存塗膜


ブリストルブラスターW処理/素地調整処理面


 この2種類の工法を合わせて用いることで、「従来のブラスト工法のような飛散や騒音の心配もなく、重装備な防護工も必要とせず施工できる。また、産業廃棄物の量も従来ブラスト工法の約1/40に低減でき、産業廃棄物処理コストを大幅に低減できる」(同研究会)としている。同研究会の試算によると、足場工~産業廃棄物処理(素地調整1種、鉛含有塗膜の場合)コストは、従来ブラスト工法に比べて1割超低減できる、としている。既に「塗膜剥離剤+ブリストルブラスターW工法」は高知県、東日本高速道路、福岡北九州高速道路公社、四国地整などの橋梁で用いられており、研究会では同工法を積極的に提案していく方針だ。 


コスト比較グラフ(同研究会資料に拠る)